「LGBT」という言葉、あなたは耳にしたことがあるだろうか。
この質問をすると、「……? 新たなIT用語?」なんて答えも返ってくるほど、正解率は極めて低い。LGBTとは、レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイ(両性愛者)、トランスジェンダー(※生まれた時に医学的・社会的に与えられた性別とは異なる性のあり方を生きる人)の頭文字を取った、性的マイノリティを表す総称だ。また、彼らは、性の多様性を表す6色のレインボーフラッグをシンボルとして掲げている。
「どうせ、テレビに出てくるおねえタレントの話でしょ?」
「新宿2丁目に生息する人たちでしょ?」
……またまたこんなサラッと、無意識な差別発言も世の多数派を占める異性愛者からは平然と出てくる。特に、中年以上の男性陣には拒否反応さえ起こす人も多い。
日本では「LGBT」は存在していないことに・・・
「うちはLGBTの社員を採用していないので、この問題とは関係ない」
実際、取材中には数万人もの社員を抱える超有名大手企業の人事部長が平然と言い切る場面に何度か出くわした。私はその企業の中で、カミングアウトしてない社員を何人も知っている。
残念ながら、今の日本企業のダイバーシティへの取り組みレベルでは、女性や身体障害者までしか“多様性”として想定していないのが実情だ。
だが、日本ではLGBTが人口の約4%を占めているのが現実。25人いれば、1人はLGBT。日本だけでその市場規模は6兆円(皆さんの驚く声が聞こえてきそうだ)。前出のような何万人もの社員を抱える大企業にLGBT社員が「ゼロ」と言い切れるはずがない。彼らの多くはカミングアウトせず、あるいはキミにだけ(!)LGBTだということを隠しているのだ。
彼らが隠す理由は何か。答えはほぼ一致している。今の日本ではカミングアウトは「百害あって一利なし」だからだ。
現状の日本の法律では、彼らは「存在していない」ことになっている(トランスジェンダー除く)。特に同性愛者には、婚姻や保険、相続などの権利は一切認められていない。
ちなみに、先進国でLGBTの人権問題が議論にすら上らないのは日本とロシアだけ。日本は「LGBT後進国」なのだ。
一方、世界では、欧米諸国を中心にベルギーのエリオ・ディルボ首相や、フェイスブック創業者の1人であるクリス・ヒューズ氏など、政治家や企業経営者のカミングアウトが年々増えている。
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