特に、アメリカ大統領で初めて同性愛者支持を表明したオバマ氏の再選によって、今後のLGBTを取り巻く環境は、急速に変わっていきそうだ。
すでに今、水面下では、LGBTが虐げられてきた歴史が静かな転換点を迎え始めているのではないか――。
常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクション
そこで、この連載では、「週刊東洋経済」(7月14日(月)発売号)の第2特集で組んだ「日本のLGBT」をさらにパワーアップさせ、身近に感じることができる日本事情に加えて、世界の特筆すべき動向も紹介、「LGBTと異性愛者が社会的にどうつながっていけばよいのか」というポジティブなテーマを毎回深く掘り下げる。
ちなみに、異性愛者の私がLGBTの現状に関心を持ったのは、卒業以来会っていなかった大学時代の友人に突然呼び出され、「オレ、実はゲイで初めて彼氏ができた」とカミングアウトされたことがキッカケだった(彼の必死感からして私への告白以外考えられないと自意識過剰になっていたのはここだけの話)。
それまで彼を当然異性愛者だと思って、彼女をつくらないことに対し、さんざんからかってきたことを私はとても後悔した。友人は「気にしていない。むしろ偏見を持たずに受け入れてくれてありがとう」と言っていたが・・。
性同一性障害であることをカミングアウトしたうえで、初めて議員に選ばれた世田谷区議会議員の上川あや氏へインタビューしたとき、LGBTに対する社会的な偏見について「常識とは18歳までに身に付けた偏見のコレクションのことをいう」と、アインシュタインの言葉を引用して説明された。
この連載では、そんなLGBTへの偏見のコレクションを1つでもなくしていけたら、との願いを込めて、スタートしたいと思う。
1回目は名門オックスフォード大学でのある“変革”の話だ。
850年目の大転換 式典で男性もスカート着用OK?
世界最高学府の1つ、イギリスのオックスフォード大学では、「サブファスク」と呼ばれる男女別の制服が存在する。
式典などのフォーマルな場や試験時には着用が義務づけられていて、オックスフォード大を目指す世界中の学生が、「いつか私も着られる日が来ますように!」と願わずにいられない、憧れの制服でもある。
この制服、男性は白シャツに蝶ネクタイをつけ、黒のスーツ、靴下と靴を着用する。女性は白シャツに黒のリボンをつけ、黒のスカートかパンツに、同じく黒のストッキングと靴を着用し、最後にどちらも上からガウンを羽織るスタイルだ。試験時には、さらに男女とも胸ポケットにカーネーションを挿すという規定までされている。
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