有料会員限定

ロシア共産党第2書記イリイン氏は正教がロシアに果たす役割を予測していた。佐藤優の情報術、91年ソ連クーデター事件簿99

✎ 1〜 ✎ 488 ✎ 489 ✎ 490 ✎ 491
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小

人間の記憶は実に不思議だ。ほんの数秒の間に、筆者がロシア共産党第2書記だったイリイン氏にベルジャーエフについて話したことが正確によみがえってきた。ここで1991年9月の、日本食レストランでのイリイン氏との対話に話を戻そう。

ロシア共産党第2書記イリイン氏との対話

──イリインさんにベルジャーエフについて説明したときの情景が鮮明によみがえってきました。

「私もよく覚えている。ロシア共産党イデオロギー部長のツヴェトコフがあなたにほれ込んでいた。冗談半分で『佐藤さんにロシア共産党イデオロギー部の仕事を手伝ってもらえないかと日本大使館に頼んでみたらどうか』と言われたことがある」

──確かにツヴェトコフさんは私をかわいがってくれましたが、そこまで評価してくれていたとは思いませんでした。

「あなたに聞かせてもらったベルジャーエフの話はとても興味深かった。ベルジャーエフはソ連国家を愛していた」

──そのとおりです。ベルジャーエフはマルクス・レーニン主義の人間観や宗教観は受け入れませんでした。しかし、資本主義の格差と疎外を解決すべきであるというマルクスの経済観には賛同していました。また、外国勢力の支援を受ける白軍系政府はロシアの民衆の利益を体現していない傀儡(かい らい)にすぎないと考えていました。

「ベルジャーエフの回想録には、第2次世界大戦後、パリの若いソ連大使館員が訪ねてきて、帰国を促したとあった。印象的だった」

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD