有料会員限定

エリツィンはウクライナもロシアとみなしていた 佐藤優の情報術、91年ソ連クーデター事件簿53

✎ 1〜 ✎ 444 ✎ 445 ✎ 446 ✎ 最新
拡大
縮小

筆者は当時、日本の外交官だった。日本の外交官としての立場からすれば、ソ連共産党が崩壊の危機に瀕し、欧米と価値観を共有するエリツィン・ロシア大統領らの民主派勢力が台頭することが好ましい。しかし筆者は、政治的立場よりも政治家の人間としての生き方に興味があった。ソ連人民代議員で「黒い大佐」と呼ばれたヴィクトル・アルクスニス氏は、自らの信念と行動を極力一致させようと努力している。こういう生き方が尊敬できると思った。

キープレーヤーは2人

──午後の最高会議でヴィクトルは何を訴えるつもりなんだ。

「それについてもマサルと相談したいと思っている」

──何なりと相談してくれ。

「まず、国家非常事態委員会の活動は基本的に正しかったと主張したい。8月に新連邦条約に署名が行われれば、ソ連は事実上、解体してしまうことになる」

──ロシア共産党のイリイン第2書記も同じことを言っていた。ペレストロイカを推進したのは、社会主義国家ソ連を強化するためであって、ソ連を解体するためではないと、8月20日午後に僕と会ったときに強調していた。

「イリインと僕は考えを若干、異にする。僕は社会主義にこだわりがない。共産党など解体してしまったほうがソ連のためになると思っている。重要なのはソ連国家だ。新連邦条約が発効すると、事実上、ソ連は解体プロセスに入る。いったんこのプロセスに入ると、それを戻すのは難しいと思う」

関連記事
トピックボードAD
トレンドライブラリーAD
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
東洋経済オンライン有料会員のご案内