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思わぬ理屈に押されたエストニアとの国交開設交渉 佐藤優の情報術、91年ソ連クーデター事件簿67

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在モスクワ・リトアニア全権代表部のエジギユス・ヴィチュカウスカス代表は話を続けた。

「ゴルバチョフはモスクワ国立大学法学部を卒業しています。ほかの共産党官僚ならば、バルト3国がソ連から離脱するのはまかりならぬと言って力で押さえつけます。しかし、ゴルバチョフは『ソ連憲法に連邦構成共和国はソ連から離脱する権利を有すると書かれているのですから、離脱したいならどうぞ。ただし、それは法的手続きにのっとって行ってくださいね』と言う。曲者(くせもの)はこの法的手続きで、実際にはリトアニアがソ連から離脱できない仕組みになっているのです。

向こうの土俵に乗らないようにするためには、『われわれはもともとソ連の構成員ではないのだから、ソ連法に従う必要はない』という理屈を立てなければなりません。私たちにとっては、リトアニアがソ連から離脱して独立を達成するという目的があり、法律はその目的にかなうように解釈しなくてはなりません」

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