「バツ2、子持ち」男性を選んだ女性の"真意" 理想の結婚は思いがけないところにあった!

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かつては「子どもは産まねばならない」という社会通念に縛られて苦しかったと振り返る智美さん。社会通念から完全に自由になることはありえない。しかし、40代になって結婚したことで「いい意味でのあきらめ」が生じたと語る。

「私が30代で、彼が初婚だったら不妊治療を考えたかもしれません。でも、彼の子どもたちが2人もいてくれるので、『私は産まなくても彼のDNA情報は残る』という考え方もできますよね。あまりこだわらなくてもいいのかな、と思えるようになりました」

予想もしなかった家族のスタイル

いま、智美さんは「若い頃の理想の結婚」とは異なる、予想もしなかった家族のスタイルを楽しんでいる。ずっと実家暮らしだった自分と比べて、はるかに家事ができる健之さんは頼もしい存在だ。義理の子どもたちとも「親戚のお姉さん」ぐらいの立ち位置で親しく付き合っている。

だからこそ、30代で独身の後輩たちを見ると、かつての自分と重ね合わせてアドバイスをしたくなるのだ。条件や第一印象だけで「ピンと来ない」と切り捨てるのはもったいない、と。

「私は結婚する前よりも、後のほうが夫のことが好きになりました。いつでも自分の味方になってくれる人がそばにいるのは心強いことですよ。最初は恋愛や結婚を考えられない相手でも1回ぐらいはデートしてみたら、と後輩には伝えたいですね」

理想に向かって突き進むのは若さの証拠だ。ただし、その「理想」が自分自身のものではなく、親の期待や世間体を反映したものに過ぎないことも多い。不要なこだわりを捨てるのは時間がかかる。経験と勇気、そして出会いも必要だ。

健之さんとの結婚生活で「新しい家族のスタイル」を発見できたと振り返る智美さん。典型的な家族のスタイルではないけれど、なぜか伸び伸びと暮らし思い切り働ける自分がいる。「理想の結婚」は十人十色なのだ。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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