結婚には2つの面がある。オモテ面は、法律や宗教に則った社会性のある人間関係。ウラ面は善悪の概念は通用しない男女関係だ。
「一生添い遂げます」と神様に誓い、親族にも祝福された直後でも、結婚相手を決定的に嫌いになってしまったり、他に愛する人ができることは起こり得る。
ファッション雑誌の編集者をしている高橋智弘さん(仮名、42歳)は、以前の職場で出会って結婚した女性と7年後に別れ、不倫相手である裕子さん(仮名、44歳)と4年前に再婚して現在に至る。付き合い始めた当時、裕子さんにも夫がいた。いわゆるダブル不倫である。社会的には許されない行為だが、個別の事情もあったのだろう。東京・神楽坂にある四川料理店で智弘さんの話を聞いた。
耐えがたかった、前妻が思い描く「理想の夫婦像」
「最初の結婚は30歳のときでした。1年半ぐらい付き合ってから結婚したのですが、あんなに『理想の夫婦像』が強固な女性だとは思いませんでしたね。
ジャージ姿で近所のコンビニに行く、なんてことは許されません。自動車のCMに出てくるようなカッコいい夫を演じることを求められました。家庭で我慢したりカッコつけるなんて意味がわかりません。自分ではない理想のイメージを押し付けられることが苦痛で仕方なかったです」
智弘さんはカジュアルな服装を愛する男性だ。パリッとしたスーツ姿の旦那様を玄関先で見送るような新婚生活が理想だった3歳年上の前妻からは常に「ダメ出し」をされていた。2人の生活は結婚直後に冷え切り、智弘さんは離婚を切り出したこともある。
しかし、世間体を大いに気にする前妻は「離婚などは絶対にありえない」という姿勢を長らく曲げなかった。家庭でストレスを抱えたまま、職場でも多忙を極めていた智弘さん。職場結婚をした前妻はすでに退職済みだったとはいえ、同じ職場で働く女性と親しくなってしまった。それが現在の妻である裕子さんだ。
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