そんな軽薄な男性は無視していい。いっそ、年齢詐称しても構わないと思う。(心は)28歳です!で押し通せばいい。軽薄くんにはどうせ見破れやしない。お酒を一緒に飲んで盛り上がってしまえば、年齢なんて関係なく好きになることある。
つい興奮してしまった。当時の智美さんは冷静だった。男性に怒ることはせず、自己分析を深めた。
「私は合コンに向いていなかったのも事実です。長い間恋愛をしていないので、男性との距離の縮め方を忘れてしまいました。幹事の私が会の盛り上がりを重視しすぎている間に、モテる子はちゃっかりボディタッチをして男性の気持ちをつかんでいたりするんですね。私にはできなかったな……」
プロフィールを盛らない、健之さんへの親近感
智美さんはマンツーマンのお見合いのほうが自分に合っていると判断。ネット婚活に足を踏み入れた。ただし、強気の条件を掲げた。身長175センチ以上、年収700万円以上、大卒の男性を希望。いわゆる「三高」である。だからこそ、男性から年齢だけで評価されても怒りはしないのだろう。お互い様なのだ。
「当時は、今のようにちゃんとしたネット婚活サービスはほとんどありませんでした。芸能人の〇〇に顔が似ている、みたいなウソを平気でプロフィールに書いている人が多かったですね。ちなみに私は女子アナ系などと書いていました(笑)」
智美さんは独身証明書などの提出を義務付ける有料の婚活サービスではなく、「出会い系」に近い無料サービスを利用していたようだ。そんなカオスの中で、健之さんの正直さは群を抜いていた。二度離婚して、最初の結婚で作った子どもが2人いることを明かし、顔写真も公開している。「日記」も飾らないユーモアにあふれていた。三高条件もほぼクリア。智美さんは心惹かれた。
ただし、健之さんは「バツ2子2」という驚きの要素を持っていた。完璧な人間などいないのだ。
「最初のデートで8時間以上も一緒にいて、話がずっと続きました。面白い人だし、気が合うなと思いましたよ。でも、付き合うことには踏み切れませんでした。付き合うと結婚しなくちゃいけない気がしたからです。バツ2で子どもがいる男性を親にはとても紹介できません」
厳格な家庭の長女として育った智美さん。「お姉ちゃんでしょ。ちゃんとしなさい」と言われ続けてきた。結婚を考える年齢になってからも「変な人と結婚したら親を失望させる」と予測し、自分の気持ちは二の次になっていた。
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