田原:冒頭にも申し上げましたが、アメリカの学生は就活をしなくなっている。日本も遠からずそうなる。良いも悪いもなく、必然的にそうなるでしょうね。
僕らの同世代の人間はみんな「就職」というより「就社」したんだね。でも定年退職してから、「やっぱり就職先を間違えた。好きなことをやるべきだった」といって後悔している人は本当に多い。就職して40年、べつに好きでもない仕事をやり続けるっていうのは、本当に無駄な話ですよ。
その点、木本さんは恵まれてますね。好きなことをやっているわけでしょう?
木本:はい。父親から「好きなことをやれ」と言われて育ちました。父親は祖父から工場を継いで、「楽しい人生じゃなかった」ってこぼしていました。だから早く気づかせてくれた父には感謝してます。楽しいコトを仕事にしたい若者は増えていると思うんですけど。
好きなこと、やりがいのあることを仕事にしよう
田原:たとえばイチローは野球と出会ったから良かった。銀行員にでもなったら悲惨で、楽しい人生じゃなかったはず。いかに自分の好きな仕事に出会えるか。あるいは見つけようとするか? それがこれからの若者にとっていちばん大事。
木本:若い子に話しを聞くと、そこで悩むじゃないですか。好きなことってなんだろう? とか。
田原:先ほどまでハフィントンポストで座談会をやってました。担当者は、朝日新聞を5月に退職して、ハフィントンポストに入った人。朝日からハフィントンって普通だと格落ちだけど、仕事が面白くなかったんだと思う。そういう人が増えている。やっぱりハフィントンポストのほうが自由に仕事ができる。
木本:やりがいのあることを見つけて仕事にするのは、いいコトだらけですよね。でも好きなことが見つからない、わからない人たちに対して、田原さんはどんな言葉をかけますか。
田原:「早く好きなことを見つけたほうがいい」に尽きるね。就活をやっている学生は、好きなことをやろうと思って活動していない。「就社」ばかりを考えている。どの会社に入れば給料が高い、どの会社に入ればつぶれないかとね。でも、せめて好きな仕事を選べといいたい。就活とは本来そういうためのものなんだけど。どの会社が安全かばかりをかんがえるような人生ではつまらない。
木本:それでいうと、お笑い芸人のマネジャーなんてすごいおもしろいと思うんです。給料はそんな高いわけじゃないけれど、売れるお笑いタレントを作ろうと野望を持っていて、僕から見ても楽しそうなんで。でも、目標を持って仕事を選んだ場合には、若い時はいいとして、出世できないということもある。それは辛くないですか。
田原:好きなことをやっていればそれでいい。好きなことは一生懸命やるから疲れない。そうすればうまくいく。僕なんて不器用だからいまも仕事が続いている。「器用貧乏」という言葉があるけど、器用だと何でもできる、そうすると便利に使われてつぶされます。僕は極めて不器用だからほとんどの仕事ができない。だからやらない、だから現役でいられる。好きなことしかやっていないから。
木本:気持ちがすり減らないんですね。たいていの人には「何でもできます、何でも頑張ります」と見せたがってしまうところがありますが、それは逆効果だと。無理しなくて、これが好きなんだ、これしかやらないんだ、と主張していけばいいんですね。
田原:好きなことを見つけることが大事。
木本:そうして世界にチャレンジしていけばいい。
田原:僕も世界にチャレンジしたかったけど、英語ができないから。もしできていれば、ワシントンに事務所を構えていたと思う。
木本:ワシントンから中継する田原さんも見てみたかったですね。
(構成:高杉公秀、撮影:梅谷秀司)
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