木本:働きがいのない部署に追いやるわけですね。
田原:その通り。日本の企業全般にそうです。終身雇用は、近い将来なくなります。アメリカでは「エブリイ・セブン・イヤーズ」といって、だいたい7年ごとに仕事を変えていく。7年で会社を変われない人間は能力のない人間とレッテルを貼られる。
発明をビジネスにつなげられない日本の企業
木本:個人の中で、ステージアップしながら会社を移っていくわけですね。
田原:基本的にアメリカでは企業内での昇進がない。
木本:日本だと、係長、課長、部長と社内で昇進していきますけれども、それがないんですか。
田原:もちろん昇進はありますが、アメリカのサラリーマンは昇進したとしても役員になれない。役員は役員の世界がある。サラリーマンの世界と経営者の世界は分かれており、経営者は経営者として他社へ移っていく。
木本:日本では会社を転々とするのは、どっちかというと悪いイメージがあるじゃないですか。
田原:今週の『日経ビジネス』(7月4日号)の特集を見ましたか(編集部注:収録日は7月6日)。これ、本当に面白い特集を組んでいる。「本当は凄いニッポンの発明力」という特集です。
日本は、いま世界で大きなビジネスになっているような発明をかなりしているけれども、中途半端で終わっているという内容。発明力がないからグーグル、ヤフー、アマゾンが生まれない、全部アメリカだという言説があるけれども、それは間違っていて、いろいろな発明を生み出しているんだ、と。
でも、日本ではそういう仕事をした人が偉くなれない。挑戦しない人が出世する仕組みなんだね。要するに、「見逃した大魚」。大きな発明だったのに中途半端で、みんなアメリカに持っていかれてしまった。
木本:原因は日本の会社の体質なんでしょうか。
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