16年ぶり売り上げ増 百貨店の回復は本物か 懸念材料は多いが…

拡大
縮小

長期低迷から脱却することができたのか。日本百貨店協会が発表した2012年の全国百貨店売上高(速報値)は既存店ベースで6兆1453億円と前年比0・3%増となった。前年を上回ったのは実に16年ぶりだ。

増加に転じた要因は大きく二つある。一つは都心大型店の増床や改装だ。10月に大丸東京店が店舗面積を1・4倍に拡張したほか、11月には建て替えを進めてきた大阪の阪急うめだ本店の開業などが寄与し、既存店の売上高をカサ上げした。もう一つは東日本大震災の反動による増加だ。11年は震災後の消費自粛により通年で2・0%減となったが、12年はその影響がなくなった。

もちろん、これは「到底喜べるものではない」(百貨店関係者)。出退店を含む全店ベースの売上高は0・1%減と15年連続で減収だった。そごう八王子店や新宿三越アルコット店などの閉店で売り場面積が1・3%減ったためで、市場縮小に歯止めがかかったとは言い切れない。

ただ、不振が続いていた主力の衣料品が0・6%増、美術・宝飾・貴金属といった高額品が3・4%増と上向いたのは明るい材料だ。「これまでは大規模な増床・改装などがあっても売上高は減少し続けてきた。12年の結果は、最悪期を脱したことを意味している」(証券アナリスト)という声もある。

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