MITの創造力は”遊び心”から生まれる
世界トップの研究機関たる真の理由

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NASAにも遊び心は健在

アメリカ航空宇宙局 (NASA)の研究所や施設は全米各地に分散している。最も有名なものは、スペースシャトルの発射場があったフロリダ州のケネディー宇宙センターであろう。映画などで耳馴染みのあるヒューストン(テキサス州)にあるのは、有人宇宙飛行の研究や宇宙飛行士の訓練などを担当するジョンソン宇宙センターである。

僕が五月より勤務するJet Propulsion Laboratory (JPL)、日本語でジェット推進研究所と呼ばれるセンターは、カリフォルニア州ロサンゼルス近郊のパサデナという町にある。

JPLが主に担うのはNASAの無人宇宙科学探査ミッションで、太陽系の全ての惑星に探査機を送り込んだ実績を持つ。はじめて火星軟着陸を成功させたバイキング、はじめて木星・土星を探査したパイオニア、天王星・海王星を訪れた史上唯一の探査機であるボイジャー2号など、宇宙に興味がある人ならば耳馴染みがあるだろうNASAの惑星探査機はすべてJPLによって開発されたものだ。

そしてJPLはその探査の範囲を太陽系の外側へも拡げようとしている。1977年に打ち上げられたボイジャー1号が、まもなく太陽系の境界であるヘリオポーズを超え、はじめてその外側に到達した人造物となる予定である。

JPLには多くのMIT卒業生がいるから、「遊び心」はここでも健在だ。例えば所内の横断歩道にはおもむろに「火星ローバー横断注意」の標識が掲げてある(写真左)。JPLから受け取った採用通知の封筒には、”Welcome to our Universe” (私たちの宇宙へようこそ)というシールが貼られていた(写真下)。

(左)JPL内にある「火星ローバー横断注意」の標識 (右)JPLの採用通知に貼ってあった、「私たちの宇宙へようこそ」と書かれたシール
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