“シリコンアレー”の旗手に出会う
アメリカのIT産業のメッカといえば、西海岸の「シリコンバレー」が有名だが、東海岸のニューヨークにも「シリコンアレー」と呼ばれる地域がある。
シリコンアレーは、マンハッタン島の南部、ユニオンスクエアからソーホー、トライベッカ地区までの一帯を指す。ニューヨークのITベンチャーの中心地だ。シリコンは、コンピュータの半導体チップの材料で、IT産業を象徴する言葉。アレーは、小道という意味だ(この地域はマンハッタンでは珍しく小道が多い)。
シリコンバレーをもじって、シリコンアレーと名付けられたそうだ。
西海岸が、グーグルやアップルといった情報・通信・ハイテク系のIT企業の中心地だとすると、シリコンアレーは、ダブルクリック、ギルトグルッペ、タンブラー、フォースクエア、グループミーなど、エンドユーザー向けのIT企業のメッカ。出版、広告、メディア、ファッションといったコンテンツ指向型のIT企業が集積している。
シリコンアレーは、今やボストンを抜き、シリコンバレーに次ぐ全米第2位のベンチャーキャピタルの投資先だ。2011年には、およそ28億ドル(2240億円)が、この地域に投資されている。アメリカの他の地域に比べても、ニューヨークへの投資案件数・投資額は、急伸している。
川本さんとシリコンアレーを直接結びつけてくれたのは、コロンビアビジネススクールのジェレミー・ケーガン助教授だ。「Digital Marketing; Strategy and Tactics」(デジタルマーケティングの戦略と戦術)という授業を教えている。
ケーガンさんは、現在、Pricing Engine社の創業者兼CEO。会社は、もちろんシリコンアレーにある。
IBMコンサルティングサービス、ソニー・ミュージックエンタテインメントを経て、ニューヨークでデジタルマーケティングの会社を起業した。コロンビアビジネススクールの卒業生でもある。
「ニューヨークで最先端のデジタルマーケティングを学びたい」と思っていた川本さんは、ケーガンさんの経歴に注目し、2011年の入学直後から個人的に意見交換をさせてもらっていたという。
ケーガンさんは、訪ねてきた川本さんにこんなアドバイスをした。
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