キティちゃんの名参謀は、異端のエリート

新世代リーダー 鳩山玲人 サンリオ取締役

海外ビジネスの大改革を断行

08年5月にサンリオに入社すると、早速、大改革に乗り出した。

まず取り組んだのが、「物販からライセンス」への戦略シフトだ。

過去のサンリオの海外事業は、直営店でキティちゃんグッズを売ることにより、収益を上げるモデルだった。いわば、“売り上げ至上主義“だ。直営店なので本社からのグリップが利きやすい一方、店の拡大スピードが遅くなり、お客さんを逃してしまう。さらに、在庫や人員を抱え込むリスクも高い。

そこで、物販の縮小を決断。自ら作り売るのではなく、ライセンスを供与してパートナーに売ってもらう形に変えた。他業界とのコラボによりキティちゃん商品を増やし、ライセンス料により儲けるモデルへと転換したのだ。

もう一つの戦略が、「現地化」の推進である。それまでの本社の日本人主導の体制を見直し、営業、企画、デザインの権限を、現地オフィスへ大きく移譲した。これによって、各市場のニーズに合ったオペレーションができるようになった。さらに、ライセンスの使用基準を緩めることによって、ライセンス供与先のデザインの自由度を高めた。

「物販からライセンス」への戦略転換が当たり、ライセンシーが急拡大。バラエティ溢れるキティちゃんグッズが誕生した

こうした戦略が奏功し、ライセンシー数は、欧州で759社、北南米で597社まで増加(12年11月時点)。12年3月期における海外事業の営業利益は181億円にまで膨らんだ。海外事業は、サンリオ全体の利益の大半を生み出すまでに成長した。

海外事業の成長をテコに、サンリオは「再建」というステージを卒業した。しかし、鳩山は現状にまったく満足していない。次なる目標に掲げるのは、サンリオを世界トップレベルのエンタメ企業に育て上げることだ。

「今は危機の状態を抜け出し、みながそれなりに満足してしまっている。でも、今の会社の規模感、利益でいいとはちっとも思えない。これくらいのサイズだと、買収の対象になってしまうし、国際競争力という点では全然足りない。ここからさらに数倍の規模に成長させないと、グローバルな競争の中で勝ち残れる日本企業にはなりえない」

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