“体育会系”居酒屋では勝ち残れない

「塚田農場」APカンパニー社長に聞く

「ホンモノかどうかはわからない。でも若手では彼がナンバーワン」――。外食業界を10年以上ウォッチし続けてきたある業界関係者は、居酒屋「塚田農場」を展開するエー・ピーカンパニー(以下APカンパニー)の米山久社長(42歳)をそう評価する。

市場縮小の続く外食産業の中でも特に厳しいのが居酒屋業界。APカンパニーは2001年に有限会社として設立(株式会社化は06年)、05年に初めて地鶏居酒屋をオープンしてから急拡大し、12年9月に東証マザーズに上場した。10月にはシンガポールへ海外初出店、11月には急速な出店に合わせて宮崎県日南市に加え、同・西都市での新たな食肉加工センター設立に着手した。

上場の先に目指すのは「食産業の変革」と話す、APカンパニーの米山社長にその経営哲学を聞いた。

ただの外食でなく地鶏を自ら生産する“製造業”

――APカンパニーとはどういう会社か。

僕らは通常の外食企業ではなく、自社や提携先が育てた地鶏を自社店舗で販売する“生産・製造業”が直結したビジネスモデルだ。主力業態は「塚田農場」という居酒屋で、宮崎と北海道、鹿児島の地鶏を提供している。従来、地鶏を提供する居酒屋の客単価は7000円ぐらいだったが、自社4カ所、委託先農家26カ所で育てた地鶏の使用により、当社は客単価4000円で提供できている。

今は40万羽ぐらいの地鶏をAPカンパニーだけで消費している。いちばん多いのは宮崎県産の「みやざき地頭鶏(じとっこ)」だが、すでに宮崎県内の地鶏生産シェアでは当社が50%を超えており、数年後には80%を超えるだろう。

野菜を作っている外食企業はあるが、総消費量のうち内製化できているのは数%止まり。サラダのうちの数%が自社農園製ではあまり意味がない。APカンパニーの場合、メインの地鶏の100%を自社もしくは提携農家が作っていることに特徴がある。農家26軒、7漁場・50人以上の漁師と提携しており、宮崎県日南市に加工場・処理場を造ることで、全部で300人ぐらいの雇用を地方で生み出している。

――主力業態の「塚田農場」は料理の内容を産地にさかのぼって説明するなど接客が独特だ。

それも生産・製造業だから可能になる。サービス業ではいつまで経っても体育会系の根性論がまかり通っている。「夢」と「ありがとう」だけじゃ、中身がないから続かない。

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