“体育会系”居酒屋では勝ち残れない

「塚田農場」APカンパニー社長に聞く

APカンパニーには直営店が90店舗ぐらいある。ビール会社と組んだ市場調査によれば、居酒屋を中心にまだ400店舗までは出店の余地がある。今13年3月期の売上高は112億円の見込みだが、今後4~6年間で400店舗・年商500億円を目指していきたい。地鶏の塚田農場が350店、鮮魚中心の居酒屋「四十八漁場(よんぱちぎょじょう)」が50店といった見通しだ。

中小スーパーなど小売り買収に虎視眈々

(鮮魚については)現在、7漁場・50人以上の漁師と買い上げの提携をしている。全国には100人以上の漁師がAPカンパニーと手を組みたいとウェイティングリストに名を連ねている。「もう漁協には頼れない、しがらみだらけだ」と言う。とはいえ、われわれはまだ居酒屋と中食を含めて、鮮魚を使う業態は14軒しか店舗がなく、調達量を増やせない。

居酒屋は原価率が低いため、はける食材量はたかが知れている。外食の場合、売上高に占める魚の原価率は13%だ。月商1000万円の店舗であれば、130万円しか魚を使わない。

ところが小売りの原価率は60%程度のため、同じ売上高1000万円でも600万円の魚を仕入れることができる。仕入れ規模が5倍近く違う。小売りや卸を充実させることができれば、仕入れる魚の量が増え、提携先も20漁場、30漁場と増やすことができる。外食でも刺し身の品数を充実させることができる。

だから絶対に小売りが欲しい。5~10店ぐらいのスーパーを買ってしまうというのも手だ。いろいろなアイデアはあり、必須のテーマとして1年前から準備を進めている。

――米山社長はもともと、不動産業やブライダル業の出身だ。地方や第1次産業の活性化といった言葉からは遠いように見える。

不動産業やブライダル業で仕事をしてきたが、自分たちの利益ばかりを求めていても会社は長続きしないと思い知った。なぜうまくいかなかったか考えたときに「社会性がなかった」ことに気づいた。事業には「利益」と「社会性」の2つのバランスが必要だ。1つは当然売上高や利益の追求、もう1つは会社の事業コンセプトにリンクした社会性だ。

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