“体育会系”居酒屋では勝ち残れない

「塚田農場」APカンパニー社長に聞く

僕らは生産・製造業としてのこだわりを、末端のアルバイトでも伝えられるよう工夫している。接客スタッフは家電売り場にいるメーカーの説明員のように、「生産者が育てた地鶏をAPカンパニーが売ることで地方の活性化につながる」と顧客にプレゼンしている。

研修体験を糧に自信持って客に薦める

――こうしたサービスは誰が提案しているのか。

ほとんど現場だ。個人店のようにこまやかな接客をチェーン展開できるのは、優秀な人材が多く現場にいるからだ。

また10以上の社内研修で企業理念を伝えている。APカンパニーはお客様にいいものを出したい、というところからスタートし、その先にある第1次産業や地方の活性化という「誰のため」「何のため」という目的をはっきり伝えている。

たとえば新卒入社3年目では、宮崎の地鶏生産現場に2~3週間行って実地研修をする。地鶏は孵化から4~5カ月で出荷準備が整う。食肉処理場で、地鶏の命がわーっと途絶えて、3分間で解体されてお肉になっていく。その光景を目の当たりにすると社員は泣き出して、2~3日ぐらい放心状態になってしまう。その後、社員たちは「自分の役割は何だろう」と考えて、「最終消費者のお客様に、おいしい状態で、残さず食べていただくこと」だと気づく。

この研修風景は映像に記録し、アルバイトや新入社員に見せる。見終わった後、本人が登場し、店舗における自分たちの役割を伝える。社長の僕がこういった話をするよりも、アルバイトと年齢が近い社員が体験を伝えるほうが理解しやすいし、浸透していく。

APカンパニーのスタッフはいつも農家や漁師といった生産者のストーリーを背負っていて、「これは○○さんが作ってくれたんです」と自信を持って薦められる“リアル”がある、このリアルがあるかないかが、大きな違いだ。

来店回数多い客は“出世”させ、リピート率高める

――不振にあえぐ居酒屋が多い中、「塚田農場」は健闘している。

上場している外食大手の数字を見ると外食不況のように見えるが、リピーターを獲得している個人店は底堅い。逆に大手の飲食店は新規顧客7割、リピート率3割程度と、流動顧客で成り立っていて、流動顧客を獲得するため、情報誌やネット媒体に広告宣伝費を使い、割引券を配って単価を落としている。

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