東大の入試問題は世界で最も難しい!? 日米トップ大の入試はこんなに違う(上)

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生徒にとってセンター試験はおトクだ。一般入試であれば、私立大の受験料は3万5000円かかるが、センター試験であれば1万5000円程度で済む。しかも、複数の大学に一気に出願できる。

そこで、生徒はセンター試験でいかに高得点を取るかが目標となり、センター試験の過去問題を中心とした学習をしていく。

センター試験の問題は基礎や基本に忠実で、非常にいい問題だ。「教科書レベル」とよく表現されるが、確かにそうである。まずは学校の教科書を中心とした学習で、センター試験を意識しながら対策を進めていく、というのが、一般的な生徒の流れになる。

難関大の志望者は、センター試験で8割から9割取るのを前提に、今度は志望校の2次試験の過去問題に取り組んでいく。

その過去問題は今も昔と変わらず、赤本である。それぞれの科目で何点取るのか目標点を設定し、それに向けて効率的に学習していく。

こうした対策の仕方は、日本の入試がペーパーのみで行われるかぎり、変わらない。試験当日に作成した答案で採点され、合計点を出す。その合計点の上から順番に並べられ、募集定員が100人なら、100番目までは合格、101番目は不合格となる。単純にデジタルに合否が決められていく。

日本の入試に"自分らしさ"は逆効果

大学と生徒のマッチングキーは、当日の筆記試験のみである。そこで合格点を取れるかどうか、しかも、その日の出来だけで合否が決定する。

大学や学部によっては、募集定員を一般入試、推薦入試、AO入試に分けて行うところもあるが、1人の生徒に対して、筆記試験、面接、技能などをミックスして総合的に見るという大学はほとんどない。

やはり、試験日から合格発表まで1カ月程度しかないため、手間暇がかかる方式は時間的に難しいのだろう。大学側が採点しやすい方式をとるため、生徒側は処理能力を高めるという方向にならざるをえない。一般入試において「自分らしさ」などは問われないし、逆にそんなものを筆記試験で表現すると点が取りにくい。生徒はひたすら模範解答に合う答案の書き方を訓練することになる。

一昨年、東大とイエール大に合格した生徒が「海外大受験は、自分を圧倒的に表現しないと合格しない。しかしながら、日本の大学入試では自分を表現しすぎることはむしろ逆効果になる」「日本の入試本番では、的確に採点基準を抑えて得点を積み上げて行く受験テクニックと、制限時間内に問題を解く処理能力が求められる」「日米併願受験において、この気持ちの切り替えが大変だった…」と自分の受験を振り返っていた。

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