東大を目指す生徒にとっては、センター試験はあくまでも2段階選抜の1つの手段でしかない。東大の場合はセンター試験の得点が900点満点から110点満点に圧縮される。2次試験が440点満点で、合計550点満点。「350点」取れば、最難関の理Ⅲ(医学部)を除き、東大には合格するといわれている。
2次試験は、文系の場合、英語120点、国語120点、数学80点、地理・歴史(2科目)120点。理系の場合、英語120点、国語80点、数学120点、理科(2科目)120点。
「350点」が合格点だとすれば、センター試験で9割取ったとして、圧縮して110点中の100点。合格点の350点から引くと、2次試験で250点を取らなければならない。それをどの科目で何点取っていくかという戦略になる。
たとえば、文系で、数学が苦手だから35点、英語は得意だから85点取ると想定すると、あと130点を国語と地理・歴史でどう稼ぐかになる。
英語はリーディングの後にリスニングがある。リスニングの時間を軸にして、その前後でどの問題からどう解いていくかまで緻密にシミュレーションする。
東大の求める人材像
こうした2次試験で東大はどのような生徒を求めているのだろうか? 生徒のどういう能力を問い、どういう生徒を求めているのか、東大は公表しているので紹介する
(以下、引用・抜粋)
・国語…文章を筋道立てて読み取る読解力と、それを正しく明確な日本語によって表す表現力。
・地理歴史…総合的な知識、知識を関連づける分析的思考力、論理的表現力。
・数学…数学的に思考する力、数学的に表現する力、総合的な数学力。
・理科…自然現象の本質を見抜く能力、原理に基づいて論理的かつ柔軟に思考する能力、自然現象の総合的理解力と表現力。
・英語…英語による受信力、英語による発信力、批判的な思考力。
以前、ハーバード大学の学生に、東大の数学と理科の入試問題を見てもらったことがある。その学生は「全米の学力テストのSATは、難易度も低く、マークシートなので満点が取れる。しかしながら東大の入試問題は、難易度も非常に高く、答案に記述していかないといけないので満点は取りにくい。もしかすると世界で最も難しい大学入試の問題かもしれない」と言っていたのが印象的だった。
また入試問題だけでなく、毎年約9000人もの受験生が書き上げた4教科の答案を限られた期間の中で採点し、その答案のみで、大学が求める人材を見抜くという「東大の選抜する技術」は、ある意味、世界でトップかもしれない。
次回は、ハーバードをはじめとする米国トップ大の入試はどのようなものかを説明しよう。
(構成:上田真緒)
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