どのように決めるかというと、将来、自分がなりたい職業をイメージする。ここで「職業調べ」というキャリア教育が行われる。教わるキャリアはかなり狭い。どうしても医者、弁護士、教師など、わかりやすい職業ばかりになってしまう。大卒のほとんどが企業に就職するのに、職業調べには「サラリーマン」がない。
そうしたキャリア教育で将来なりたい仕事の方向性をだいたい決定し、学部・学科を決める。そして、その学部・学科が文系寄りなのか、理系寄りなのかを考え、かつ実際の学力も考慮して文理を決めるのである。
このように、人生のかなり早い段階でキャリアをやや無理やり決めてから「逆算型」で大学受験の方向を考えていくというのが、日本の大学受験の鉄則だ。
だが、日本の大学が学部・学科ごとに募集を行っている以上、どんどん前倒しになるのは仕方がないという側面もある。高校側はスケジュールを逆算して、文理の決定時期を早めないといけない。今の生徒は現役志向が強いこともそれに拍車をかけている。
激減する浪人生
20年前、1学年200万人いた時代には、既卒生の志願者が30万人もいた。
昔の難関大の受験生は、既卒受験が前提であり、現役でダメでも再度チャレンジする気概があった。これに対して、今の受験生は現役志向が強く、第一志望を貫き、ダメならもう1回受験するという意志の強さがあまりない。これは、既卒生が10万人を切り、ピーク時の3分の1程度に減少していることが裏付けている。
昔は東大を第一志望とする生徒は、落ちたら予備校に通い、受かるまで頑張ったものだが、今の生徒は落ちたら他の大学に行く。しかも、早慶でなくても他の私立に進学してしまう。それだけ現役志向が強いので、高校もスケジュールを前倒しにせざるをえないのだ。
そうして、高校2年生の3学期に志望校を決めたら、今度は志望校の過去問題の対策に入る。過去問題のベースとなるのは、今はセンター試験だ。以前は私立大学は参加していなかったが、ここ10年ほどで、ほぼすべての私立大学がセンター試験の得点を活用した入試を採用している。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら