もともとキャリア志向の強い垣上さんは、現状維持に甘えなかった。「周囲の人の席にツカツカ寄って行って、『何でもやります』と言って回った」のだと言う。
「つらいけど、チャレンジングな仕事に食らいつくくらいが、生きている実感があっていい」と語る垣上さん。現在の、激務ながらも、数字の責任を負い、担当の店舗をせわしなく回る日々は、彼女の志向に合致しているようだ。
育児中でも、もっと活躍したい
最後に、会社や上司に期待することは?と聞くと、こんな答えが返ってきた。
「サントリーは現在、女性社員の育休取得率が100%に達するほど、復帰の態勢が整った。でも、育休取得後の女性社員が、自分が望むほど活躍できているかというと、そうは言い切れない部分もある。
時短制度を利用中の社員の中にも、内心はもうちょっと仕事がしたいと手を挙げたい人も多いだろうし、会社側だって、他の社員と同様、時短の社員にも、サポート的な業務ではなく、成果を追求してほしいと考えているはず。
本当はもっと働きたいと願うワーキングマザーの声を聞くことが、その人のためにも会社のためにもなると思います」
筆者が多数のワーキングマザーを取材したかぎりでも、会社や上司の「時短のワーキングマザー=サポート業務」との決めつけが、ワーキングマザーのキャリアの障害となり、モチベーション低下の原因にもなるとの意見が多かった。
ワーキングマザーは、とかくひとくくりにされがちだが、当然ながらそれぞれの状況は異なる。「置かれた環境や、キャリアに対する考えなど、一人ひとりの、その時々の思いにきちんと向き合うことが、非常に大切だと思います」と垣上さん。
企業のワーキングマザー活用は、制度構築の段階から、個々人の能力や家庭環境を見極めて運用する、一歩先のフェーズへと移行しているようだ。
(撮影:梅谷 秀司)
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