本連載の第2回では、「男性不況」が進み、女性の賃金が男性の賃金に近づけば近づくほど、お金持ちの家庭と貧乏な家庭の所得の差が大きくなるメカニズムを紹介した。
その理由は、高所得の女性と低所得の男性が出現したことにより、高所得男性と高所得女性のカップルができる一方で、男性も女性も低所得な組み合わせもできてしまうため、両者の所得格差は広がってしまうというものだった。
しかし、本連載の著者、永濱利廣氏も書籍『男性不況』の中で述べているように、男女とも収入に関係なくランダムにカップルができれば、高所得女性と低所得男性が現れても、所得格差は大きくは広がらない。
つまり、豊かになった女性たちが低所得に悩む男性と結婚し、一家の大黒柱として男性を養ってくれるようになれば、たとえ「男性不況」が深刻化しても理論的には大きな問題にはならないのだ。
しかし、実際問題、女性に経済的な余裕ができたとしても、男性を養ってくれるようになったりするものだろうか?
日本ではついこの間まで、「男性が稼いで女性を養う」結婚のスタイルが社会通念として存在していた。つまり、「女性が男性を養う」ようになるためには、男女ともに大きな意識転換が必要なのだが、当の女性たちは、低所得の男性との結婚についてどのように考えているのだろうか?
そんな疑問に対する答えを求めて、本連載の編集協力をさせていただいた私、ライターの王地 築が、3人の独身キャリアウーマンの本音を聞いてみた。
「尻込みされてしまうんですよ」アラフォー・キャリア女性
1人目は、江戸川貴子さん(仮名)。米国の大学で修士号を取得し、現在は外資系企業で働く、アラフォーのキャリア女性だ。
「相手の年収? 全然、気になりません。いくらでも大丈夫です」
「でも、さすがにヒモみたいに、仕事もしないで家にいられるのは嫌ですね。家でブラブラされているだけじゃ、こっちのテンションも下がりそうだし。少なくても、プライドを持って何かに一生懸命になっていてくれないとダメかな……」
と、専業主夫に対しては厳しい意見ながらも、年収の低い男性との結婚にも比較的寛容な意見を聞かせてくれた。しかし現実の話となると、彼女自身、低年収男性との結婚にあまり明るい展望は抱いていない様子だ。
「最近、特に寄ってくる男性が少なくなってきましたね。なんか、ものすごく稼いでるように思われるみたいで、尻込みされてしまうんですよ」
彼女の名誉のために一応断っておくと、江戸川さんは決して男性を尻込みさせてしまうようなビジュアルの持ち主ではない。ルックスからは、和服の似合いそうな楚々とした印象すら受ける。また、ドラマで描かれるキャリア女性のような強圧的イメージもなく、人あたりはむしろ柔らかだ。
それなのに、男性が尻込みしてしまうほど、高収入オーラが出てしまっているとは、いったいいくら稼いでいるのか? こっそり教えてもらったのだが……。
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