「失われた20年」という言葉に象徴されるように、1990年代前半にバブルが崩壊して以来、わが国はずーっと不況の真っただ中をさまよっています。
不況というと経済の問題だけのように考える方もいらっしゃると思いますが、実はこの間、日本ではある大きな変化が起きていたのです。
それが、労働市場における男性の価値の相対的な低下です。その結果として、先日発刊した拙書のタイトルにもなっている「男性不況」が引き起こされているのです。
「男である」価値が希薄化した日本
「労働市場で男性の価値が低下した」と聞かされても、納得されない方も少なくないかもしれません。
しかし、実際に過去十数年間で、男性の雇用は100万以上も減少しましたし、平均賃金も大きく下落してしまい、家族を養うことのできない男性が大量に現れています。
一方、その間、女性の雇用は右肩上がりで増加し、男性との賃金格差も大幅に改善されました。また、かつては男性のほうが低かった失業率もここ十数年間で男女が逆転し、2010年にはその差が過去最大の0.8%にまで広がりました。
就職における男女差別が少なくなったり、職場における女性の地位が向上したりといった変化は、多くの方が実感されているのではないでしょうか。
日本の労働市場では、今まさにこのような「女性高・男性安」が進行し、社会のあり方をも変えようとしているのです。
なぜ、このような「男性不況」と呼ばれる状況が生じたのでしょうか?