原因は大きく以下の三つがあります。
① グローバル化の進展による製造業の雇用者の減少と、少子高齢化による建設業の雇用者の減少で、男性向きな職場が減った。
②高齢化の進展による医療・介護の雇用者の増加で、女性向きな職場が増えた。
③男女差別が軽減され、ホワイトカラーが男性向きではなくなった。
順に説明していきましょう。
なぜ「男の職場」が激減したのか?
まずは、男性向きな職場、特に製造業と建設業の衰退です。
ご存じのとおり、日本の製造業は90年代以降、円高対策やコスト削減のため、新興国を中心とした海外に生産拠点を移転させる流れが続いています。内閣府の発表によると、1995年に8.1%だった日本の製造業の海外現地生産比率は、10年には18%と2倍以上に拡大しています。それに伴い、国内の製造業雇用者は大幅に減少しました。
数が減っただけではなく、雇用形態も大きく様変わりしました。日本の製造業者は不況期のみならず、戦後最長の景気回復期であるいざなみ景気の間も、グローバル競争下で戦うための体力をつけるべく、正社員ではなく非正規雇用者を大量に雇用することで人件費を抑えてきました。
非正規雇用者は、正社員に対して、景気が悪くなれば解雇されるなど雇用の調整弁として使われることが多いという特徴があります。
その観点であらためて日本の雇用形態別の就業者数を見てみると、男性の場合、いまや、全雇用者の18.7%が非正規・パート雇用者です。これは、97年のおよそ2倍の水準で、この15年間でいかに男性の雇用形態が変容してしまったのかを、如実に物語っています。
今後景気が回復しても、いざなみ景気のときと同様に正規の雇用が増加しなければ、ひとたび需要が止まると一気に雇用が縮小してしまう危うい構造が今も続いているのです。