3.アジア各国へのアクセスが便利
住んでみるとわかるのだが、香港は、広東省に行くにしても上海に行くにしても北京に行くにしても便利であり、韓国や日本へも各3時間半で出張できる。シンガポールからはフェリーでインドネシアに行けるし、30分電車に乗って北上すればマレーシアとの国境である。インドのムンバイにも5時間足らずで着く。
日本から7~8時間毎回ビジネスクラスの旅費(たいていのグローバル企業で、6時間以上はビジネスクラス、というのが一般的な社内規定)を払って東京から出張してもらうより、近くのシンガポールや香港に住んでくれたほうが時間的にも経済的にも合理的なのだ。
加えて、空港から都心部が近いのも大きい。
香港ではIFC(インターナショナルファイナンシャルセンター)まで鉄道で30分かからず、タクシーでも20分程度だ。空港を出て、雨にぬれることなく自宅に20分で着くのは、出張が多い身にとって助かる。シンガポールに至っては10分程度タクシーを飛ばせば、15シンガポールドル(約1000円)程度でラッフルスクェアのオフィスに着くのである。
恵比寿からはるばる成田を目指していた頃は、国内の空港に移動するだけで実に2~3時間かかっていたが、これは海外都市に飛ぶフライト時間よりすでに長い。交通インフラの充実度というのは、“人を呼び寄せてナンボ”の金融都市にとって、競争力を左右する非常に大きな要素なのだ。
日本経済の相対的重要性が低下してきている中、日本としては、日本への窓口から都心部へのアクセス(時間・金銭的なものも含め)を高める政策をより積極化しなければならない。羽田空港の国際化はよくやった。あとは初乗り700円のタクシー代を他国並みの250円にすべきなのだが、その理由はまた次回以降に話そう。
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