2・アジア各国の、相対的市場規模の変化
日本の多くの会社は、縮小する国内市場から成長目覚ましいアジア市場に次の一手を託してきた。またグローバル金融市場では、ヨーロッパや北米や日本を避けた資金がここ10年、アジアに押し寄せている。
グローバルに資産を運用する投資責任者にとっての関心事項は、中国、インド、インドネシアをはじめとするASEAN等の巨大市場の成長をどれだけ取り込めるか、である。
そして、グレーターチャイナへの窓口として香港が、インド・ASEANへの窓口としてシンガポールが、存在感を大きく増している。P&Gのアジアパシフィックの本社機能が日本からシンガポールに移るニュースが大きく取り上げられたが、投資銀行や資産運用の業界では、一足先に、東京から香港・シンガポール移転の流れが起きてきた。
長期間の不況と失策に幻滅し、日本に投資したい外国人機関投資家は激減し、中国やインド、インドネシアへの投資熱が高まったため、東京オフィスは閉鎖か大規模人員削減の憂き目に遭った。そしてジャカルタの投資銀行で需給のタイトなインドネシア人バンカーが東京の需給が緩い日本人バンカーの2倍給料をもらう事態も発生している。
以前、日本の大学に留学し、日本の米系投資銀行で働いた中国人プロフェッショナルは、その多くが香港や上海市場に移り日本人同期の数倍のボーナスを稼いでいる。東京がアジアの金融センター、アジア太平洋市場のヘッドクオーターであれた時代は終わったのだ。
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