「阿川佐和子」流の質問を真似てはいけない! 沈黙しつつ、気まずさをなくす3つの方法

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私が営業マンだった頃、ある技術を身につけてから、相手との信頼関係を築くことがたやすくなりました。その技術こそが「沈黙」です。

雑談術(3)沈黙にとにかく耐える!

沈黙といってももちろん、まったくしゃべらないわけではありません。相手のペースに合わせてしっかり話を聞く。適切な質問をする。そして、沈黙を使うことで、自然に相手がべらべらしゃべるようにしていきます。

私が営業マンとして成績を上げ、後輩の指導を頼まれるようになったある日のこと。横浜の支店長から同行指導を依頼されました。「入社して2カ月経つのに全然売れない新人がいる。年齢は40歳の男性。普段の会話は話題が豊富で楽しいし、会話のセンスもある。なぜ売れないのかわからないので指導してほしい」という依頼でした。さっそくその新人と営業車に同乗して話してみましたが、確かに話が面白く、話題も豊富でした。

「なぜ売れないのだろう?」

不思議に思いつつ、お客様宅に到着してさっそく見学させてもらいました。すると、びっくりすることが起こりました。以下は、新人とお客様との実際の会話です。

新人:「お客様、普段どんな掃除機をお使いですか?」

お客様:「掃除機? えーと……」

新人:「日立ですか? 東芝ですか?」

お客様:「なんだったっけな……」

新人:「週に何回くらい掃除しますか?」

新人:「週に2、3回ですか? それとも毎日ですか?」

なんと新人は、質問して2秒も経たないうちに次の質問を投げかけているのです。終始そんな具合で、質問してすぐさま返事がないと、間に耐えきれないのでした。冒頭でもお伝えした「テレビ流の質問がダメ」というのは、まさにこういうことです。

2秒の沈黙にも耐えられない彼を、私は「沈黙恐怖症」と名付け、ここから改善に取り組みました。

相手が話すまでとにかく我慢

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確かに、質問してすぐに答えが返ってこないときはあります。質問したら相手が黙ってしまった。そんなとき、口を挟みたくなる衝動をぐっと抑えてください。相手が話しだすまで、とにかく我慢。

沈黙は、脳がフル回転をして、さまざまなことを考えている状態なのです。相手が考えをまとめる時間を邪魔してはいけません。

コミュニケーションが苦手な人は、この沈黙に耐えられないという人が多いです。少しでも間が空くとすぐに質問で埋めようとする。冒頭にも申し上げましたが、質問の連発は相手との信頼関係を築くうえで、決して効果的な会話術ではありません。これが気まずさのもとになっていると知ってください。沈黙に耐える技術を身に付けると、相手の話を聞けるレベルが一気に上がります。ぜひ参考にしてみてください。

松橋 良紀 コミュニケーション総合研究所代表理事

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まつはし よしのり

コミュニケーション総合研究所 代表理事。NLPなどの心理学をベースにした「コミュニケーション心理」の専門家。対人関係が激変するコミュニケーション改善講師としても活躍。2015年6月で13冊を出版するコミュニケーション本の執筆家。米国NLP協会認定 NLPトレーナー

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