「わしはいままで長いあいだ経営というものに携わってきたけど、方針というものをいつも明確にしてきたな。こういう考え方で経営をやるんだ、こういう具体的な目標を持って経営を進めるんだ、こういう夢を持っていこうやないか、と常に従業員の人たちに話し続けてきたんや」
もし方針がはっきりしていなければ、部下はどう動いていいのかわからない。一生懸命努力して、これならいい結果を出したと思って上の人に報告したら、「そんな結果は期待していなかった」と言われるぐらい辛いものはない。
ましてや叱られ文句を言われたらもう泣きたくなる。それは上の人が悪い。上司あるいは責任者がはっきりと方針を出していないから、そういうことになる。なにげなしに経営されたのでは、下の人が迷惑する。
方針を出せない指導者は、それだけで失格
方針によって社員は自分の努力の方向を知る。なるほど、こういう考え方でやらなければいけないのか、こういう目標に取り組まなければならないのか、とわかる。それだけでなく、理想がはっきりしていれば、自分の努力が結局どこに繋がるのかがよくわかる。だから社員は自分からやる気をだし、一生懸命努力する。たいていは期待通りの結果を出してくれる。すなわち方針を明確にしておくと、部下が育つのである。
方針というものを出せない指導者は、それだけで失格である。
「方針を明確にしておくと、経営者自身も自分の判断や行動の物差しができるから、力強い動きができる。経営をしておると、いつもいつも迷うことが多いわね。右にしたらいいのか、左にしたらいいのか、わからんことばかりや。はっきり見分けられるものなど、案外少ない。そんなときに方針に照らして、右に進んだらいいのか、左に進んだらいいのかを考える。すると、自然にどうしたらいいのかがわかるわけや」
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