受験生の地元志向が強まっている。その大きな要因となっているのは保護者の意向。家計状況などから、子どもを手元に置いておきたいと考える家庭が増えているのだ。有名大学が地元にある首都圏はともかく、地方の受験生にとって、地元志向は大学の選択肢を狭めている。高校の進路指導教諭も、保護者の意向を無視することはできず、本当に生徒のためになる進路情報の提供が難しい状況となっている。
では、地元志向など進路選択のバイアスがかからない状況で、進路指導教諭が本当に勧めたい大学はどこなのだろうか。
大学通信は、全国2000進学校の進路指導担当教諭に、生徒に勧めることができる大学について聞いている。2015年は750校から回答があった。このアンケートでは、純粋に大学の力を評価して生徒に勧めたい大学について聞いており、その回答を集計したのが、「偏差値や地理、親の資力などの制約がない場合、生徒に勧めたい大学」ランキングだ。
東大が1位に復帰
どんな大学でも進学できればいいと考える進路指導教諭はいない。現在、大学は約750校あり、そのうちの4割が定員割れをしている。そうした状況の中、生徒に特定の大学を勧める理由は、生徒の将来を見越して、成長させてくれる大学であるということ。その視点は、面倒見、就職実績、教育・研究力、国際性などの環境がいかに優れているかであり、この評価の高さがランキング上位に入る要因となっている。
ランキングの1位は東京大だった。2014年の調査では、今回3位の京都大が東京大を上回っていたが、2015年は逆転した。東京大は2016年春、同大史上初となる推薦入試を実施した。そのための広報活動により、注目度が増した影響が大きいようだ。
もちろん、東京大の教育・研究環境が優れているのは誰もが認めるところ。2015年の専任教員1人あたりの学生数が約11人と少ない上、教員のレベルも高い。科学研究費補助金の獲得額は200億円を超え、京都大の130億円を大きく上回っている。蔵書数も945万冊で、京都大の686万冊より多い。
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