潮目が変わった新卒採用 退潮の就職ナビ、上げ潮の大学対策
HR総合調査研究所は2012年9月上旬に、人事担当者に対して「2014年度新卒採用」に向けてのアンケート調査を行った。その中で最も目立つ変化は、採用手法の潮目が変わったことである。
2000年代に入ってからの新卒採用は、「就職ナビ」が中核メディアの地位を確立し、学生の実質的な就活は就職ナビへの登録から始まっていた。今もその地位は変わらない。
ただ就職ナビをクリックすることが就活だと勘違いする学生も多く、弊害もあった。また学生は自分の知っている著名な大企業を志望し、その結果としてエントリーシートや選考で落ちまくり、内定取得前に心が折れてしまい、就職活動を停止してしまうケースが増えてきた。しかし14年卒の採用課題と、企業の就職ナビの利用状況を見ると、どうやら変化の兆しが見え始めた。
就職ナビ依存を反省する声が多くなり、大学を基点とする採用活動を強化する企業が増えているのだ。データを見ながら、この潮目の変化を検証してみよう。
●2014年度新卒採用での実施予定施策
2014年度新卒採用で実施予定の施策を問うた結果、最も多いのは「自社セミナー・説明会」の80%、続いて「学内企業セミナー」と「就職ナビ」が76%である。4位は「適性検査」73%であり、5位が「自社採用ホームページ」69%だ。
6位と7位は大学関係で、「求人票」が66%、「キャリアセンター訪問」が52%になっている。おおむね納得できる数字であり、驚くべきものではない。
ところが「2014年度新卒採用で特に力を入れる施策」と質問の仕方を変えたところ、異なる結果になった。「学内企業セミナー」56%と「自社セミナー・説明会」55%は変わらず上位だが、「就職ナビ」はポイントを大きく落とし、28%になっているのだ。
もちろん就職ナビは企業が工夫を凝らす余地が乏しいので、「特に力を入れる」ことにはならないのかもしれないが、「28%」と低いことには留意しておきたい。
図表1:2014年度新卒採用で実施予定の施策
図表2:2014年度新卒採用でとくに力を入れる施策