潮目が変わった新卒採用 退潮の就職ナビ、上げ潮の大学対策

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採用経費に占める就職ナビのウエートを減らす企業が増える  2000年代に入ってから、企業の採用活動と学生の就職活動が就職ナビ一辺倒になっていたが、どうやら潮目が変わってきているように感じる。今回の調査では「就職ナビにかける費用割合の増減」も問うている。

最も多いのは「前年と同じ」だが、就職ナビにかける予算を「増やす」のは業種、規模を問わず10%以下。「減らす」は20%前後ある。全体の採用経費予算が増えていないかぎり、就職ナビ予算は減り始めている。

図表3:就職ナビにかける費用割合の増減
(規模別)

●「待つ」のではなく、「狩り」に出かける採用へと潮目が変化

 これまで定番だった就職ナビが退潮ぎみになった理由だが、人事のコメントから知ることができる。いくつかを紹介しておこう。

・リクルートサイトを活用しての採用活動の限界を感じている。企業名が知られていないだけに、もっと積極的にターゲット層の学生とかかわる手法を取り入れ、ハンティング型の採用活動をしていきたい。

・母集団形成型採用は、弊社ターゲットの確保ができないので、今後実施しない。

・ナビだけに頼った活動に限界を感じている。

・自社ホームページとFacebookでの反応が増加傾向にあるため、就職ナビの使用頻度や露出を減らしたい。

・就職サイト中心から学校訪問を通じて学内企業セミナーでの直接面談中心への採用手法に切り替えていく方向になる。

これらのコメントを読むと、いま起きている変化がよくわかる。就職ナビからのエントリーを「待つ」のではなく、採用担当者がターゲットを「狩り」に出掛けようとしているのだ。就職ナビに代わって重要性を増しているのが大学対策だ。大学とのより強い関係づくりが今後のテーマとなってきそうである。

HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
(本社:東京千代田区、所長:寺澤康介)
人事のプロを支援するポータルサイト「HRプロ」を運営するHRプロ内の調査・研究部門。企業・団体のHR(人事)領域に関する調査、研究を行う。外部の調査機関による調査研究結果も紹介するなど、「開かれた研究所」を志向する。「HRプロ」内に、新卒/中途採用、教育・研修、労務、人事戦略などの業務に役立つ調査レポートを掲載している。

 

写真はイメージです。本文とは関係ありません

 

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