英国最大の鉄道計画に日立が切り込めたワケ キーマンを直撃

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--南アでは勝ったり負けたりということでしたが、英国と違って情報もうまく取れていたということですか?

南アは当時、お客さんが割とエンジニアだった。日本のJRさんを相手にするのと同じで、お客さんと1対1の関係だったんですよね。だから、交渉もけっこうシンプルだった。英国は、ご存じのように民営化した後、リース会社が入り、オペレーターがいて、安全監査の人がいてと、ものすごく複雑な関係がある。非常に関係者が多いですから、それだけ契約も複雑で。

--IEPの案件は一時凍結になりましたね。

英国で政権交代が起きて、日本と同じ「事業仕分け」、向こうで言うスペンディング・レビューが始まって、労働党政権で行っていたものを全部見直すことになった。IEPのプロジェクトも再入札にかけるべきじゃないかという意見が出て、一時は非常に危なかったんですけど、その後、日本政府の方にご支援いただいたり、当社の弁護士と英国政府の弁護士の間で当社の正当性を確認して、英国政府にもご理解していただき、いったんはやり直しになりかけたところを交渉再開までこぎ着けた。その後、英国政府も11年内には契約したいと宣言してくれたんですが、結局その年のクリスマスまでに終わらなくて、正式契約は今年の7月までかかってしまいました。

--日本政府の支援が生かされた部分もある?

そうですね。それと国際協力銀行(JBIC)さんのローンは規制上、以前は途上国向けしか許されていなかったんですが、日本の高速鉄道の海外進出を支援するということで、先進国にも適用できるようにしていただいた。IEPも、その対象になりましたので、政府、それからJBICさんのご支援は非常に大きかった。

--IEPの前には、高速鉄道「クラス395」(09年運行開始)の案件がありましたが、政府支援はいつから?

これはIEPからですね。クラス395のときは日立単独でやりました。これは、われわれが車両を納めてメンテナンスもしていますが、ファイナンスはリース会社でしたので。もちろん、現地の日本大使館などにはいろいろとご支援をいただきました。

 

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