英国最大の鉄道計画に日立が切り込めたワケ キーマンを直撃
--これをきっかけにして、現地の見方も大きく変わってきた。
ええ。それから全然見方が変わった。それと、ローカルの人材もその頃には、すでに雇っていましたので。ネットワーキングというか、お客さんの情報量も変わってきたし、お客さんとの交渉の仕方も変わってきた。そういう両面があったと思います。
--情報を取るのは、日本人では限界がある?
欧州だけでなく、どこでもそうかもしれないが、本音と建て前をかなり上手に使い分けますので、本音のところの情報は、やはり日本人では難しいですよね。われわれだって外国人が入っているときと、日本人だけで話しているときとでは中身も変わるでしょうし。だから、日本人には言いづらいようなことも絶対あると思うんですよね。たとえば、パブで飲んで、言っているニュアンスから感じ取るところもあるでしょう。そういうのは、日本人には難しい。
--実際に2回失注したわけですが、そのときに、どういった点で具体的に本音と建て前が使い分けられていると感じましたか?
たとえば、われわれが製品のPRやプレゼンテーションをしますよね。そうすると、彼らは必ず褒めるんですよ。「ビューティフルだ。すばらしい、ぜひ買いたい」と。じゃ、どうだったかというと、違うんだ、本音は(笑)。「ああ言ってるけれども、あいつら本当にできるのかな」というところがあるんですよ。でも、そこはジェントルマンですから、言わないですよね。そういうことは、しばらく経ってみないと、わからない。
ですから、プレゼンテーションでほめられて、その気になっていると、とんでもないことになってしまう。そのあとパブに行って、ビール2~3杯くらい飲むと、「いや、実はあれだけじゃダメだよ」ってなことが出てくる。つまり、日本人じゃダメで、やはり英国人のほうが情報は得やすい。どこでもそうかもしれないですけど。