英国最大の鉄道計画に日立が切り込めたワケ キーマンを直撃
--クラス395でまず実績を作るという戦略でしたね。
そうです。鉄道は事業リスクもありますし、うまくいかなかったときのダメージも大きい。まずは小規模の174両を納め、それによって車両の信頼性と保守事業も含めてチャレンジをする。そのクラス395がショーケースになって、次のIEPに行く。
クラス395の案件はIEPに比べて小規模なので、車両もすべて山口県にある笠戸事業所で製造したんですけど、IEPは現地で製造する。日本の日立というより、ヨーロッパの日立というイメージを前面に出して、長期的に事業をやっていくということで。そういう意味でもステップアップになります。
--インフラ関連事業をグローバルに展開していくという戦略を日立は掲げていますが、鉄道の成功はかなり目立っていますね。日立がインフラを今後さらに展開していくうえで、大きな推進力になるんじゃないですか?
それは結果的に目立っているだけで、最初から狙ったわけじゃありません(笑)。われわれとしては、鉄道事業を長期的にやっていくにはやはり欧州で、という考えでやってきた。それとビジネスモデルでも、単に車両を納めて終わりではなくて、せっかくいい車両を持っているわけだからメンテナンスにも事業性がある。今度のIEPの場合は、現地に工場を造るために投資したり、特別目的会社にエクイティ(資本)を入れて、そこからのリターンも得るというように、コア技術を基にビジネスモデルを変えていく。そういったことの1つの手本にはなったかもしれないですね。
--英国で得たノウハウを基に、今度は欧州大陸にも鉄道事業を広げていく予定ですね。
大陸にも、ぜひ行きたいと思っています。
--それから南米にも?
そうですね。今取り組んでいるのは、欧州の大陸と中国、それから南米、東南アジア、インドも視野に入っています。