英国最大の鉄道計画に日立が切り込めたワケ キーマンを直撃
--国によって鉄道は運営方式も違います。英国では受注に成功したわけですが、今後、ほかの地域に展開していくに当たって、英国の経験が生かせるところと、そうでないところは?
インフラの場合は、その国々の文化や歴史を大事にしないとうまくいきません。日立のスタンダードをつくって、それを現地に押し付けているようではうまくいかない。インフラは、どうしても現地でプロジェクトをマネージ(管理・運営)して、現地の政府とやり取りしたり、現地の業者をまとめてシステムインテグレーション(統括)していかなければならない。英国なら英国人、ブラジルならブラジル人というように、その国々の人をマネジャークラスで有効に活用して、日立というよりは、コア技術とか品質をサポートするような組織を作っていかないとうまくいかないのではないか。
ですから、私も英国では「これが日立のやり方だから、全部それに合わせてやれ」ということはやめて、彼らの主体性を重要視し、いわば触媒的な役割として、日本のエンジニアと現地のプロジェクトマネジャーの融合を図っていく。そういったことを意識してやってきた。
これは英国ではうまくいきましたけど、おそらくほかの国でも同じことを続けていくことになると思います。「日本が日本が、日立が日立が」とやっていくと、反発も出てくる。現地には優秀な人がたくさんいるわけですから、そういう人たちを活用していくことがグローバル化なのではないか。日本人を送り込むのではなくてね。
--日本の製造企業、たとえばトヨタ自動車のようなところは、日本のカイゼンを世界にいかに移植するかを課題として進めてきたように思いますが、インフラは、それとは違ったアプローチが必要になるということでしょうか?
カイゼンのようないいところは、彼らも採用してきますから、そういったところは問題ないと思いますけれど。とはいっても、お客さんとか、いろいろなステークホルダー(利害関係者)とのコミュニケーションなどは、やはり現地に任せないといけない。