「キットカット」が、こんなにも愛される理由 売り上げ日本一のチョコはいかに進化したか
まずは歴史をたどろう。キットカットは1935年にイギリスで誕生。当初は「チョコレートクリスプ」という商品名で販売が開始された。産業革命時代に、工場がどんどん建設されていく中、イギリスで働く労働者の環境は決して良くはなかったといわれている。
そこで、仕事をしながら手軽にエネルギー補給が出来るようにとの想いから片手で食べることができるチョコレートとして開発されたのがキットカットの始まりだ。
そのバリエーションは累計300種類
では、いったいなぜ「キットカット」はこれほどまでの人気を確立することが出来たのだろうか? そのヒントは2015年末に数量限定で発売された1本2016円の「金のキットカット」についてスタッフが質問した際の槇さんの何気ない一言の中に隠されていた。
「何か話題がほしくて作っちゃったんですよね」
チョコレート菓子として不動の地位を確立しているにもかかわらず、「面白そうだからやってみる」という攻めのチャレンジ精神がネスレ日本にはある。金のキットカットに限らず、キットカットには訪日外国人にも大人気の抹茶味をはじめとして、さまざまなフレーバー(味)のバリエーションがある。15年前から始まった多種展開は累計約300種類にも上るという。
「わさび味」「小豆サンド味」「しょうゆ味」――。一時は毎月数種類にも及ぶ新しいフレーバーを開発する時期があったそうだ。チョコレートと組み合わせるイメージのない新フレーバーを開発するキットカットに、ネット上では「どうした? キットカット」「キットカットが攻めまくり」などと話題になることもあった。「北海道じゃがいも味」「焼きもろこし味」などのフレーバーにも挑戦したことがあるそうだ。
これが、さまざまな味を楽しみたいという日本人の嗜好にもマッチし、大きなマーケティング効果を発揮することで、いつしか消費者の心の中にキットカットという存在を浸透させているのかもしれない。