福島原発事故での不作為認めた東電

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ただし、ジャッジ氏は英国原子力公社会長を04年から10年まで務めたという特殊な経歴を持つ。同公社は、英国の原子力発電開発計画の推進のため1954年に設立された政府機関である。また、同氏は米国の大学卒業後はニューヨークの法律事務所に勤め、80年には米国証券取引委員会の最年少理事に任命された。その後、香港や英国の金融機関幹部を務めた後、02年に英国原子力公社に入っている。

ジャッジ氏は「原発はどんな国でも適切に運転されれば安全。さまざまなリスクをどう評価し、どう対策を取るかにかかっている」と、クライン氏と同様、十分なリスク対策をしたうえでの原発推進の立場を明らかにした。

また、英国では過去のセラフィールド(核燃料再処理工場)やウィンズケール(プルトニウム生産工場)の事故が「ウエイクアップコール(目覚まし電話)」となって同国の厳格な安全文化や規制体系を形作った、と説明したジャッジ氏は、「日本では福島(第一原発の事故)がウエイクアップコールになったと思う」と語った。

「ウエイクアップコールの時に寝ていたのは誰か」との記者の問いには、「監視委員会も始まったばかりであり、この場ではノーコメントにしたい」とかわし、帰国便の時間の都合のため記者会見の半ばで退席した。

記者団から「もし監視委員会から原発はやめるべきとの報告が来たらどうするか」と問われた東電会長の下河邉氏は、「そういうケースがありうるのか、ありえないのか、仮定の話には答えられない」としたうえで、「監視委員会の意見を慎重に取締役会で検討し、真摯に対応する」と述べるにとどめた。

(中村 稔  撮影:尾形文繁 =東洋経済オンライン)

中村 稔 東洋経済 編集委員
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