福島原発事故での不作為認めた東電
日米の原発規制における基本的な違いについてクライン氏は、「第一に米国では原子炉がより安全であるために、関係者一人ひとりが常に自問自答する姿勢が求められていること。第二に、米国の規制当局であるNRCが最高レベルの専門性を有しており、常に自問自答していること」を挙げた。
福島第一原発の事故現場も視察したクライン氏は、事故の原因について「自然の猛威を過小評価したこと」と述べ、「地震には耐えたが、津波で水をかぶったことが原因」との認識を示した。そして「東電、政府、規制当局がみな過小評価していたが、最終的な責任は東電にある」と語った。
政府・民主党の「2030年代原発ゼロ」の方針に対する考えを聞かれたクライン氏は、「個人的意見としては、原発は(リスク対策次第で)安全でありうる。そう信じていなければ、米国の原子力規制委員会で委員長をやっていなかった。原発ゼロを選択したときに、どんな結末をもたらすかを認識すべき」と言い、エネルギー安全保障の観点から日本の政府と国民に再考を促した。また、視察した新潟県の柏崎刈羽原発について、「津波からの防護壁、追加的電源の設置、水密ドアの設置など安全向上のための取り組みはすばらしい」と評価した。
委員の中で唯一、女性であるジャッジ氏は、「日本だけでなく、社会グループの中で原発に最も反対なのは女性。特に中流以上の女性の反発が強い。女性の視点は貴重ではないか」と述べた。
(監視委委員のバーバラ・ジャッジ英国原子力公社名誉会長)
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