スマホで激変!? ゲーム大バトル 専用機の市場が侵食
コナミの『メタルギア ソリッド』シリーズの開発を手掛け、世界的に有名なゲームクリエーターの小島秀夫氏はこう危機感を示す。「5年前から日本のソフトメーカーは、(開発への)技術と熱量の双方で劣勢に置かれている」。8月末のイベントで小島氏は新しいゲームエンジン(開発用フレームワーク)を発表し、「これまでは一つのプラットフォームに特化してきたが、(ネット上のサービスが使えるスマートテレビなど)クラウドを見据えたマルチプラットフォームに対応して世界に挑戦したい」と開発体制の強化による巻き返しに意欲を燃やす。
前出のエンターブレイン浜村社長は、「日本のソフトメーカーは、ソニーや任天堂のハードに関する情報を開示してもらえるいい立場にあった分、特定のハードにこだわりすぎていた。今後、汎用性の高い開発環境が広がってくれば、得意のデザイン能力を生かして世界で戦える可能性は残っている」と指摘する。
世界最大手のジンガはスマホ台頭で急失速
スマホ普及の追い風に乗るグリー、DeNAにも課題は残る。一つは、コンプガチャ問題に代表されるような「高額課金」によるユーザー離れだ。国内市場の頭打ちが見え始める中、ソフトメーカーと手を組み、いかに海外市場を開拓できるかが成長路線維持のカギを握る。
世界最大手のソーシャルゲームメーカーである米ジンガは、12年4~6月期決算で赤字転落した。フェイスブックとの連携を軸にカジュアルなPCゲームで急拡大を続けたが、ここに来てスマホへ顧客が流れ始めている。短期間でヒットゲームを次々と打ち出す必要のあるソーシャルゲームは、一度ユーザー離れが始まると、そのスピードは速い。
そもそも日本のソーシャルゲーム市場では、1割の高額課金ユーザーが9割の無料ユーザーを支えているとされている。“お得意様”が離れたら、市場は泡と消える。「00年前後も従来の携帯電話向けゲーム市場が一気に広がり、バブル状態だった。今はその頃に似ている」(大手ソフトメーカー幹部)と警戒する声は多い。