スマホで激変!? ゲーム大バトル 専用機の市場が侵食
業界最大手の任天堂は12年3月期、上場来初の赤字に転落した。昨年発売した携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」は、販売不振を受けて発売からわずか半年後に1万円の値下げに踏み切った。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が昨年発売した「PlayStation(PS) Vita」も、苦戦している。ソフトが充実していないことに加え、「ライトユーザーがスマホへ一部流出している」と見る向きは多い。
スマホの波に乗り遅れぬよう、ゲーム専用機の陣営も対応へと乗り出している。
据え置き型ゲーム機「Xbox 360」を展開する米マイクロソフトは、総合エンターテインメントサービスで対抗軸を打ち出す。注目されるのが、年内に配信する「Xboxスマートグラス」という新アプリケーションだ。
Xboxのコンテンツをタブレットやスマホとつなぐ点が特徴。新OS(基本ソフト)の「ウィンドウズ8」と「ウィンドウズフォン」に加え、アンドロイドOSやiOSにも対応している。「スマホやタブレットとつなぐことで、より深くエンターテインメントを楽しめる環境になる」(日本マイクロソフトの泉水敬執行役)。
スマホとタブレットの配信プラットフォームでは、アップルの「アップストア」とグーグルの「グーグルプレイ」がユーザーを二分している。さらにフェイスブックや、日本ではグリーやディー・エヌ・エー(DeNA)といったプラットフォームがひしめいている状態だ。ゲームファンは複数のアカウントを使い分け、サービスを“回遊”している。
マイクロソフトもゲームや映像を扱うオンラインサービス「Xbox Live」で利用会員が世界で4000万人いるが、テレビで遊ぶXbox 360での利用が中心。手薄だったスマホやタブレットへの進出は喫緊の課題でもある。
対するSCEは、従来のゲームビジネスそのものに危機感を募らせている。6月に米国のクラウドゲーム会社・ガイカイを約300億円で買収。「(パッケージソフトを販売する)従来のゲーム専用機のビジネスはだいぶ壊されており、ビジネスモデルの変化に使いたい」(ソニー役員)。