3万6000人以上が参加する東京マラソンは世界的に見ても、メジャーレースだ。しかし、「チャリティ」としての活動は大きく遅れている。2015年度のチャリティ総額(2016年2月4日時点)を比較すると、ロンドンは約99億8000万円、ニューヨークシティは41億4000万円、シカゴは約21億2400万円、ボストンは約18億5000万円。東京はというと、わずか3億391万7339円だった。圧倒的に少額の基金しか集まっていないのだ。それでも、ほかの国内のレースと比べると、ずいぶんと進んでいる。大阪や京都でもチャリティ枠(大阪は7万円以上、京都は10万円以上)があるが、定員は数百人規模でしかないからだ。
その一方で東京マラソンの一般抽選は2016年大会で過去最高の11.3倍を記録した。例年、一般ランナーのエントリーは8月1日~31日に行われ、9月下旬に抽選結果が通知。当選者は、10月中旬までにエントリー費用1万800円を支払うことで「エントリー完了」となる。TOKYOプレミアム会員(年間費4320円)に登録しておくと、先行エントリー、2次抽選とあわせて、抽選チャンスが3回になるとはいえこちらの倍率も10倍以上だ。
そこでチャリティ枠である。10万円以上の寄付で必ず参加できる「チャリティランナー」は、例年7月1日からエントリーを開始して先着順となる。第10回大会は定員が3000人で、初めて申込期限前(11月13日)に定員に達したという状況だった。とはいえ、チャリティランナーで出場しようとしているわけではなく、一般抽選で外れたから、10万円を寄付して走ろう、というランナーが多いのが現状だ。「外れたからチャリティで」。そんな考えが悪いとは思わないが、もっと前向きにチャリティに参加できたほうが絶対に気持ちいい。
「寄付金の減額」と「定員の増枠」
そこで提案したいのが、チャリティランナーにおける「寄付金の減額」と、「定員の増枠」だ。
一般ランナーのエントリーが例年どおりの8月1日~8月31日ならば、チャリティランナーの申し込み期間を7月1日~8月31日とする(クラウドファンディングでの申し込みは、基金を集めるのに時間がかかるために、従来どおりでいいだろう)。そして、寄付金を10万円以上から「5万円以上」に下げて、かわりに定員を3000人から「1万人」に増やす。うまくいけば、5万円以上×1万人で、総額5億円以上が集まる計算だ。
定員に満たない場合は、一般ランナーの枠にまわせば問題ない。逆に期日前に定員に達した場合は、翌年は定員を増やしていく。仮に「2万人」まで増やすことができれば、10億円以上の寄付金を集めることができる。
チャリティランナー枠が増えることで、一般ランナー枠は減ることになり、抽選倍率はさらにアップするが、それでいいと思う。ランナーの立場で考えると、正直10万円は厳しい。でも、5万円以上をチャリティに寄付することで、プレミアムな東京マラソンを走りたい、と感じるランナーは増えていくと思うからだ。さらに一般ランナーの抽選倍率が高くなれば、当選したときの喜びは大きくなる。
日本人にはあまり根付いていない「チャリティ」という行為も、東京マラソンの価値が高まることで、その理解度は深まるだろう。東京マラソンはただのロードレースではなく、世界を魅了するようなビッグイベントになれる“存在”だと思う。芸能人を走らせて、ただ話題を提供するだけでなく、世の中にもっと貢献できる「仕組み」を考えていただきたい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら