目前の五輪を見送る、「一流」佐藤悠基の戦略 期待のエリートランナーの「勝負観」

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佐藤悠基選手が考える「成功」とは?(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

自分にとっていちばん大切な目標は? それを実現するのはいつか? これらのクエスチョンに、あなたは明確に答えることができるだろうか。

4年に一度開催されるオリンピックを前に、その難問に直面するアスリートは多いだろう。今冬に行われたリオ五輪の男子マラソン代表選考レース(福岡、東京、琵琶湖)には、多くの有力ランナーたちが参戦。夢の舞台を目指して、激突した。しかし、そのなかにマラソン経験のある“超大物ランナー”の姿がなかった。トラックや駅伝で数々の記録を打ち立ててきた佐藤悠基(日清食品グループ)だ。

マラソンランナーとしての「戦略」

29歳の佐藤はこれまでに3度のマラソンを経験。当然、リオ五輪はマラソンで狙うものだと思っていたが、佐藤はあまり意識していなかったという。そして、代表選考レースにはエントリーすらしなかった。それは、「マラソン」という競技で“成功”するために何をすべきなのか、考えた結果だった。

「マラソンでいちばん(大切な目標として)目指しているのは、リオ五輪に出場することではありません。だから、そこに向けて焦って何かやらないといけないというのはないんです。選考会に無理やり合わせて、全然ダメだったという選手もいます。結果がすべての世界なので、ただ頑張ったところで意味がありません。

何をもって成功といえるのかは人それぞれですけど、目標のひとつにタイムがあります。オリンピックは世界最高峰の大会とはいえ、世界中のランナーがそこを目指してやっているわけではない。特にケニア人は、オリンピックよりもビッグマネーが動く大会の方がモチベーションは高い。2時間2~5分台の選手が集まるようなレースでいい勝負ができたら、マラソン選手としてひとつの成功だといえるんじゃないでしょうか」

近年、世界のマラソンでは、ケニアとエチオピアの選手たちが猛威を振るっている。これまでにサブ5(2時間5分切り)を達成した選手は27人で、その全員が両国の選手たちだ。各国の代表枠は最大3名なので、オリンピックに世界ランキング上位の選手たちが一同に集まるわけではない。中でもマラソンの場合は、特殊な事情をはらんでいる。

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