今、ラグビーに熱い視線が注がれている。イングランドW杯で日本代表が大躍進を遂げたからだ。4年後に日本で開催されるW杯への期待感も高まっていることだろう。そして、決戦の地から帰国したエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(以下、HC)の言葉に、筆者は衝撃を受けた。日本スポーツ界の問題点をズバリと突いていたからだ。
「日本では高校、大学、トップリーグでも高いレベルでパフォーマンスする指導ができていない。規律を守らせるため、従順にさせるためだけに練習をしている。それでは勝てない」とエディーHCは話している。
スポーツの秋だからこそ、「スポーツをする意味」をしっかりと考えたいと思う。
たとえば、運動会の定番である「組み立て体操」や「ムカデ競争」をすることには、どんな意味があるのだろうか? 近年は「組み立て体操」での事故が問題視されている。筆者も経験があるが、しんどいだけで何も面白くなかった。やる意味はよくわからないけど、自分だけがさぼるわけにはいかないし、先生に怒られないようにマジメにやっていただけだ。
足をつないで集団で走る「ムカデ競走」も、一見、ほのぼのとした種目ではあるが、日本スポーツ振興センターには、全国の小中学校や高校で2205人(昨年度)がケガをしたと報告されている。うち2割が骨折で、中には頭を強く打ち、体にマヒが残ったケースもあったという。
スポーツはつねにケガのリスクを伴うものであるが、なぜ自分がやるのかわからない種目でケガをするほどむなしいことはない。
箱根駅伝常連校の有望選手も「考えていない」
筆者は大学時代に箱根駅伝常連校の陸上部に所属していた。部員は男子長距離だけで約50人。高校時代、全国大会に出場した選手などがスポーツ推薦(各学年8名人)で入学して、そのほかは一般入試組だ。筆者は一般入試組だが、全体的な競技レベルは高かった。しかし、不思議なことに、スポーツ推薦で入学してきた強豪校出身者の「意識レベル」は決して高くなかった。簡単に言うと、あまり“考えていない”選手が多かったのだ。
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