東京マラソンで中年オヤジがつかんだもの 「走ること」はこんなにも素晴らしい!

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あす2月22日は今年で第7回を迎える「東京マラソン2015」が開催される。3万6000人のランナー、1万人以上のボランティアが参加し、沿道では160万人を超える観衆がランナーの雄姿に声援を送る。
東京マラソンをきっかけに、日本に火がついたマラソンブーム。今では街中でもランナーの姿を見掛けることが多くなった。その姿は老若男女さまざまだ。
走ることは何が面白く、何を得られるのか。中年期になってからランニングにはまった2人の作家がいる。作家の江上剛氏は、56歳を越えて突然、ランニングに目覚めた。一方のノンフィクション作家、辰濃哲郎氏は運動経験があったものの、中年になって本格的に走り出した。しかも、この2人は「仕事や生活で大きな困難に直面したときに、走ることで救われた」と述懐する点でも共通する。「ダイエットや健康維持、そして脳と精神の活性化のためにランニングは最適だと説く」作家兼中年ランナーの対談をお届けする。

――まず、おふたりのマラソン・ランニング歴を教えてください。

江上:僕が走り出したのは5年前の2010年春、56歳の時です。それまでは運動なんてしたことがなく、中学時代に野球をやっていたことくらいでまったくの素人。2013年に発売した新潮新書のタイトルは『55歳からのフルマラソン』ですが、それはまあ覚えやすいように1年丸めました。

自宅の近所にある知人がいるんですが、その彼から「フルマラソンを4時間で走らせます」という誘いがあって、それに乗ってしまった。彼が中心のランニンググループに入って、毎朝、走ることになりました。杉並の周辺を約10キロメートル。それが、マラソンにはまったきっかけです。

半年後の2010年10月には、つくばマラソン(フル=42.195キロメートル)に出場して、完走しました。ゴールした途端に意識を失うくらいで、体調が無茶苦茶だったけど走りきった。ちなみにタイムは4時間31分でした。

ストレス解消のために走り始める

辰濃:大学時代に体育会の野球部で投手をしていましたが、新聞記者になってからは、運動は全くごぶさた。現在57歳ですが、41~42歳くらいのときかな、デスク(記事を取りまとめる責任者)になるとストレスがたまるようになって、ちょっと走る気になった。午後10時くらいに仕事が一段落すると、会社を抜け出してね。

築地の朝日新聞本社からレインボーブリッジを往復すると距離にして7キロくらい。このルートは信号がほとんどないから、走りやすいんです。携帯電話を持って何かあるとすぐ戻れるようにして走る。社に戻ってくると、風呂に入って、再び仕事をする。新聞社は印刷業務や泊まり勤務があるから風呂がある。これが便利でしたね。

でも、もっとも走ることが好きだったかといえばそうでもない。大学時代の練習といえば、とにかくランニング。投手は練習時間の7~8割は走っているので、「走るのだけはごめんだ」だと思っていました。でも、新聞社の中間管理職のような立場になって、上と下との板挟みになる。平均15時間は会社にいると、心理的なバランスを取るため、そして何より「独りになりたい」というのが、走るきっかけでした。

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