東京マラソンで中年オヤジがつかんだもの 「走ること」はこんなにも素晴らしい!
――江上さんが東京マラソンに出たときのエピソードが本にありますね。走っていて涙が出そうになったと書かれていますね。
江上:運がいいことに2011年から4回連続して走りました。初めて出た2011年大会のときには感激しました。コースには、田町、大手町、築地と自分がかつて勤務した街が含まれているし、そのほかにも慣れ親しんだ銀座、日本橋、浅草を走る。何か自分の人生を振り返るようで、フラッシュバックのようにいろいろと思い出されました。とくに、振興銀行では同じ社外取締役だった方を自殺で失いましたから、本当に強い思いがこみ上げてきました。
朝日なんて「どうでもよくなっていた」
辰濃:江上さんは第一勧業銀行時代に築地支店長をされている。僕は朝日新聞の本社が築地でしょ。東京マラソンに2007年の第1回と、翌々年の第3回に出ていますが、初めて出たときには複雑な思いがあったんですよ。銀座4丁目方向から晴海通りを走ってきて築地本願寺の交差点を左に折れると、左後ろを振り返ると、朝日の社屋が見えるんですよ。
下見をしたとき「ああ、朝日の社旗が見えるな」と思っていました。本番のレースのときには、その社旗に向かって拳を振り上げて見返してやろうと思ったんですよ。でも実際に本番になったら、苦しくて、そんなことどうでもよくなっていた(笑)。「もう朝日なんかどうでいい」と。何か、自分の中で吹っ切れたというか。だから、江上さんが、本の中で自分の人生を重ね合わせて走った気持ちがわかる気がしました。
江上:それまでは朝日を辞めさせられたことをどこか引きずっていたわけですか?
辰濃:そうですね、引きずっていました。それがもう自分の中で本当に決別できる、大きなきっかけになりましたね。
――中高年男性や女性が知りたいダイエット効果はどうでしたか?
江上:僕は効果がありました。体重は10キロ以上、ウエストも12センチ減少しました。コレステロールが劇的に下がって健康体になりました。ランニングを始めて2~3カ月で体重が8キロぐらい減りましたから、ダイエットに効果があると思います。悪玉コレステロールが劇的に減って、代わりに善玉が増えた。中性脂肪も正常値になりました。健康になりたけりゃあ、走らないと損ですよ。
辰濃:体重は14キログラムくらい減りました。ウエストも10センチ以上減った。野球体型とは違いますが、走るにはやはり軽いほうがいい。ただし走ると健康になるかといえば、厳密に科学的根拠があるのかどうか。
――いまどのくらい走っていますか。
江上:朝型なので早朝4時すぎに起きて執筆してから、6時半から7~10キロですね。取材旅行で出掛けても、現地で走ります。
辰濃:僕は夜型。週に2~3回、10キロ前後ぐらい。最近は、ランニングウエアとシューズを持って仕事に行き、着替えて自宅まで走って帰っています。あとは山の中の遊歩道を走る「トレイル」にもはまっています。深夜トレイルも好きで、頭にライトを付け、懐中電灯を手に持ち、走っています。