東京マラソン、2時間53分で走ってみた 記者が挑戦したビッグイベントの実像と動いたおカネ
飯田橋、日比谷、品川、銀座、日本橋、浅草――。どこまで行っても人、人、人。一介の市民ランナーに過ぎない記者でさえ、数え切れないほどたくさんの観戦者から応援の声をかけられた。しかも、それは東京・新宿のスタート直後から、ゴールの東京ビッグサイトまでほとんど途切れることがなかった。うわさには聞いていたが、実際にランナーの立場になってみると、ここまですさまじいとは。百聞は一見にしかず。よく言ったものだ。
2月24日(日)。第7回目の開催を迎えた「東京マラソン2013」に出走した。出場者はチャリティランナー(10万円以上の寄付金を払って走る)を含めて約3万6000人。30万4000人程度が申し込んでおり、実質倍率10.2倍の超人気大会である。市民参加型では間違いなく、日本最大級のビッグイベントだ。
一般市民が大都会を走る
東京マラソンは、市街地を走る米国のニューヨークシティマラソンの視察をした石原慎太郎・前都知事の肝いりで始まった。交通量が多い大都市の道路を、長時間通行規制するのは至難の業。市民マラソン大会は、郊外や河川敷などで開かれるのが一般的だったが、東京マラソンはその常識を覆し、「一般市民が大都会を走る」という非日常的な世界を、東京にも実現した。
記者は第2回大会以降、過去5年に渡って東京マラソンに参加を申し込んできた。それまでの結果は高倍率に阻まれ、5年連続の落選。そして今回、初めて出走権を引き当てた。
記者という立場はともかく、「第2回から申し込んできた」というのが実はポイント。記者は中高6年間に長距離走の選手だったが、大学進学後の十数年間はランニングからは縁遠い生活をしていた。その記者が30歳を過ぎて一念発起するきっかけとなったのが、07年に第1回が開かれた東京マラソンだった。