菅:さきほどの農業や電力に加え、日本が頑張って事実上主導したTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)にしても、時間はかかる。しかし、観光などは、規制緩和や縦割り是正が見える大きな象徴です。こうしてみると、3本目の成長戦略についても、それなりに方向性ができているのではないでしょうか。
世界への発信を考えよ
有馬:観光戦略については一段と規制緩和を進めるということですね。地方出身(秋田・旧雄勝町、現湯沢市)の菅さんならではの視点ですか。
菅:赤坂や京都の迎賓館、皇居や京都御所など、国の施設15カ所を対象に、一般開放を拡大します。例えば、赤坂の迎賓館などは、2006年に初めて総務大臣になって訪れた時、両親に見せてやりたい、また国内外のいろいろな方に、できるだけ見ていただきたいと思った。これが出発点になっています。
皇居は、平日の事前申し込み・定員制の一般公開でしたが、土曜参観を実施し、1回当たりの受付け定員も増やします。京都御所は、平日、土曜日の事前申込・定員制の参観と、春と秋の各5日間の事前予約不要・定員なしの一般公開だった。これを、土日を含め、通年で、事前予約不要・定員なしの一般公開にします。総理も「ぜひそうしたことは徹底してやってくれ」と。
あとは国立公園(全国に32、昨年の推計では約430万人の外国人観光客が来訪)。今まではどちらかというと、守る・保護することが主体でしたが、そこも変えていきます。
すでに3月21日に丸川珠代・環境大臣が「環境保全に十分配慮しながら2020年までに1000万人の外国人観光客を呼び込むことを目指す」と発表しましたが、まずは夏頃までに5箇所の国立公園をモデル地区として選んで、外国人向けのツアーを開発したり、無料WiFiや多国語案内を整備するなどして、スマートフォン経由などでも情報提供し、観光客の方にもどんどん発信してもらう。こうした一連の政策は、3月30日の「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」(昨年11月発足、中長期の観光戦略を考える会議)で決定しました。
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