菅:また4月から本格化する電力の小売の地域独占を自由化しました。東京は東京電力、東北は東北電力と長年にわたり地域独占が続いていました。1950(昭和25)年以来の法改正を行って電力政策を大転換しました。今までは誰もできるわけがないと思っていた。ただ本当に大事なのはここからですよ。
「ビザ緩和」で観光客激増、犯罪は逆に減少
「成長戦略が物足りない」という指摘がありましたが、成長戦略として数字の形でもっともわかりやすく評価していただけるのが、訪日外国人観光客(=訪日外国人旅行者)の数や、その消費額の増加です。訪日外国人観光客数は、2012年には837万人だったものが、2013年は1036万人、14年は1341万人、昨年は1974万人まで増加した。今年に入っても1月も前年同月比で52%増、2月も同36%増と、大きく伸びています。
実はこれだって、大胆な改革の結果です。典型的なのがビザ(査証)の緩和。外国人が日本に来ない一つの壁がビザということはわかっていた。ではなぜ緩和ができなかったのか。これは法務省と警察庁など治安当局が大反対するからです。「治安が悪くなる」と。担当大臣もどうしてもそういう方向になってしまうんです。だから、できなかった。
しかし安倍総理は施政方針演説で「世界の人たちを惹(ひ)きつける観光立国を推進する」と表明しました。それに基づいて私のもとに法務・警察・国土交通・外務の4大臣が集まって、10分足らずでビザ緩和を決めました。内閣の方針として各閣僚が協力して、戦略をもって進めました。
まずタイ人に対してのビザ緩和を2013年7月から開始したら、同国からの訪日観光客は前年同月比でいきなり85%も増えました。また、初めて同じ年に訪日外国人観光客数が1000万人を突破したんです。そこからも(中国人観光客のビザを緩和するなど)引き続き戦略を持って進めているわけです。
それと免税品や免税品売り場の規制緩和。免税品は今までは電気製品が中心でしたが、薬や化粧品、お酒など品目や金額などを大幅に拡充しました。銀座の百貨店には、大規模な空港型の免税店もできましたね。
観光客数はもちろんですが、その消費額こそ大事ですよね。訪日外国人観客の消費額は昨年約3兆4771億円となり、政権交代前の12年は1兆0846億円でしたから3倍以上になっています。これは当然、地方創生にも大きな役割を果たすと思います。
では、ビザを緩和して、観光客や消費額が増えて、犯罪件数は増えたでしょうか。これが微減なんです。1100万人以上も増えて。「じゃあ、その前の議論は何だったんだ?」と言いたくもなりますよね(笑)。
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