消費増税「再先送り」は問題を何も解決しない 「世代間格差」をまだ放置するつもりなのか

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最近、首相や官房長官は消費増税延期をにおわせる発言をしているが…(写真:Toru Hanai/Reuters)

2016年度予算案の国会審議が進んでいる。3月1日に衆議院本会議で可決され、審議の舞台は参議院に移った。予算案は、参議院に送られてから30日で自然成立するため、年度内成立が確定している。そのため、予算審議の焦点は、現政権の政策の是非に集まっているようだ。

アベノミクスの成果を強調する首相

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野党は、国内経済の不振を挙げ、「アベノミクス」は失敗だったとして政権批判を展開している。他方、答弁に立つ安倍晋三首相は、3月2日の参議院予算委員会で「総雇用者所得は伸び、正社員数は26万人増えている。アベノミクスが失敗だという指摘は当たらない」と述べ、「アベノミクス」の成果を強調した。

「アベノミクス」の成果を強調すればするほど、2017年4月に予定されている消費税の引き上げを再度先送りする口実はなくなる。国会審議の中で、共産党は、消費税率を8%に増税したことによって家計消費を落ち込ませているとして、消費増税をすべきでないと主張した。維新の党も、個人消費に大きなブレーキをかけるとして消費増税の凍結を求めた。

こうした野党議員からの質問に対して、安倍首相は「リーマン・ショック級や大震災級の事態が起こらない限り、現段階では引き上げていく考えだ」と答弁している。日本経済は回復基調にあり、「もはやデフレではないという状況をつくり出した」ことを認めれば、消費税率を予定通り10%に引き上げるしかないと解される。

そもそも、今の法律では、景気判断条項はなく2017年4月に消費税率を10%に引き上げることとなっている。これは、安倍首相が2014年11月18日に記者会見で、「来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。私はそう決意しています」と述べたことに基づいている。

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