拙書『中原圭介の経済はこう動く(2016年版)』では、「米国の利上げ」と「中国経済の減速」が今後の最大のリスクとなり、米国の利上げを機に1カ月以内に円高トレンドに転換し、株安が進むという事態を予測させていただきました。
正直申し上げて、私は経済の予測よりも市場の予想のほうが格段に難しいと考えているのですが、そんな私が仕事でいちばん注意を払っているのは、「物事の本質は何か」ということを常に考えるようにしていることです。経営や経済だけではなく、社会や身の回りのことなど、広くその本質について考えることは、それと同時に、俯瞰的かつ大局的な物の見方をも育ててくれるのです。
本質をとらえるためには何が必要か
その結果、経営コンサルタントとしては効果的なアドバイスができ、経済アナリストとしては正確な未来予測ができるわけです。それでは、本質を見極める力を身につけるには、どういったことをすればいいのでしょうか。
その答えは、学問のジャンルにとらわれず、さまざまなジャンルの知識を学ぶということです。物事の本質をとらえるためには、ある特定の分野の知識だけではなく、多種多様なジャンルの知識を学ぶことが求められているのです。
私のことをよく知らない方々のなかには、仕事の内容から判断して、私が大学では経営学や経済学を専攻していたと推測する人が非常に多いのではないでしょうか。ですから、実のところ、文学部で歴史学を専攻していたと申し上げると、意外に思われることが少なくありません。
しかしながら、私が経営コンサルタントや経済アナリストとしてそれなりの評価をいただけているのは、歴史学的なアプローチを中心として、哲学や物理学、化学など、さまざまな学問の知識も融合させながら、考えを導き出しているからであると思われます。むしろ、異なる分野の学問から見ていたほうが、経営や経済はおもしろいように客観的に見ることができるものなのです。
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